生き生き箕面通信

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生き生き箕面通信788 ・「墓穴掘ったのは誰だ」――朝日元論説主幹への反論

2011-02-02 06:30:56 | 日記
おはようございます。チュニジアを代表する花、ジャスミンにちなむ「ジャスミン革命」がエジプトを巻き込み、ヨルダンに飛び火。サウジアラビアも国王がピリピリしているそうです。民主主義を求める民衆の強い要求です。
生き生き箕面通信788(110202)をお届けします。

・「墓穴掘ったのは誰だ」――朝日元論説主幹への反論

 本日の朝日新聞朝刊に元論説主幹・若宮啓文氏のコラム「墓穴掘った国会証言の回避」が掲載されました。小沢氏の強制起訴を受けたものです。

 若宮氏が言わんとするところは、「小沢氏は巧みに国会での証言を避けてきたつもりだろうが、それが結局は自ら墓穴を掘る結果になった。東京地検特捜部は不起訴にしたが、検察審がこれをひっくり返して裁判に委ねたのは、普通の常識や心証を重んじたからに違いない」というものです。つまり、一般市民の感覚が正しく、「普通の常識や心証」を重んじるなら「有罪」なのだと決めつけたも同様の主張です。

 コラムの締めくくりは、「疑わしきは罰せずなのに、新聞報道は小沢氏に厳しすぎないか。そんな批判には自戒すべきだと思う。だが、議会人として当然の義務である国会での説明を避け続ける以上、その責めはご本人にきっちり負ってもらわなければなるまい」と、見事な見得をきってみせました。

 しかし、このコラムの致命的な欠陥は、まともなジャーナリズムとしての立場を堅持しようとするひたむきな誠実さがまったく抜け落ちていることです。

 具体的にいえば、そもそも「小沢事件」なるものの真実は何なのか、を解明しようとするジャーナリズムがはずしてはならない立場が一切欠落しているのです。

 焦点は、「小沢氏からの4億円には、ゼネコンからの裏金が含まれており、それをごまかすために説明が二転、三転した」に絞られています。この点こそが東京地検のシナリオ(見立て)であり、地検特捜は総力を挙げて強制捜査も行い、それでも証拠をつかめなかったのです。つまり、地検の見立てそのものが誤りであり、もともとおかしなことは何もなかった。裏返していえば、検察が「小沢氏は完全無罪」ということを立証したのです。新聞やテレビは、朝日も読売もここをわざと無視して、「怪しい、きっと何かを隠している」と、言い続けているわけです。こんな状態だから、いくら説明しても、ただやみくもに「まだ足りない。まだ説明していない」と繰り返すだけになっています。

 若宮コラムの「普通の常識や心証」は、それこそマスメディアが検察が垂れ流すリークを針小棒大に伝え、「限りなくクロ」の常識と心証を作り上げた結果です。いわゆる「小沢は怪しい。小沢は有罪に違いない、という空気」を自らが醸成したうえで、それに乗っかって「断定」する。うさんくさい論法です。

 かつて、田中角栄・元首相のロッキード事件の際、東京地検が現役首相の捜査を開始するにあたって検察の首脳部は、朝日新聞の首脳部と事前に話し合い、「特捜が本気で現役首相をやるつもりなら、(朝日は)社を挙げて協力する」と”密約”しました。

 そのうえで、本来なら無効であるはずの「免責を条件とする嘱託尋問」をしたのでした。大活躍したのは、堀田勉・東京地検特捜部検事(現・さわやか財団理事長)でした。この「田中角栄・ロッキード事件」そのものも、ジャーナリズムには法に照らした検証作業が不可欠の課題として残されています。

 いままたほとんど同じように、マスメディアが作り上げた「空気」を利用して、小沢追及をしています。朝日新聞としては、ここまで小沢を追い詰めてきたのだから、「あと一歩」で、池の底に沈めることができ、そうすれば、小沢追及の一貫した姿勢が完成、場合によっては新聞協会特別賞でももらいたいとうところでしょう。

 若宮氏は、アメリカのブルッキングス研究所に客員研究員として派遣されてから、論説が変わり、「朝日が変わった」という流れを主導しました。01年からの派遣中に、「9・11」に遭遇し、「PKOへの自衛隊参加」を積極主張。02年9月から5年7か月の論説主幹時代に、それまでの朝日の反戦イメージを払しょくし、読売やサンケイとあまり変わらないいわゆる”現実路線”へと完全に「朝日を変えた」のでした。その後の論説主幹が、「CIAの手先」と揶揄された船橋洋一氏という流れになりました。

 朝日は、骨太のジャーナリズム精神をゆがめ、日本丸を漂流させるメディア側からの要因をなしていると言わざるをえません。メディアとしての墓穴を掘っているのは、朝日自身のように見えます。