安倍晋三首相は大変だと思うが、それが政治であるわけだから、自分を支持してくれた人たちに対して、懇切丁寧な説明をすべきだろう。TPP交渉参加については、国民の反対がかなり根強い。喜んでいるのは、新自由主義に毒されたマスコミだけである。アメリカにとっても、メリットばかりではない。関税が撤廃されたならば、ほとんどが日本車になってしまうはずだ。そのリスクを回避するために、軽自動車を優遇する日本に圧力をかけてくるのは、必至とみられている。さらに、日本に対して攻勢を強めてきそうなのが、国民皆保険や公的薬価制度の見直し、政府調達・金融サービス業への新規参入などがある。自民党外交・経済連携調査会は27日、これらのことを列挙しながら、交渉参加にあたっての「守り抜くべき国益」として言及している。日本が一歩前に踏み出すには、それなりの覚悟が求められる。そこで考えられるマイナス面も、きちんとカバーすべきだろう。当初は農業分野ばかりが話題にされていたが、実際は日本の根幹にかかわる大問題なのである。私は安倍首相の外交力を高く評価するが、相手のあることであり、綱引きはこれからだ。苦渋の選択をする場合には、なぜ不利益を甘受せざるを得ないのか、安倍首相はストレートに国民に語るべきだろう。そこで逃げてはならない。
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