政権担当能力がないと、そこまでやってしまうのだろう。嗤うに嗤えない事態である。政府の社会保障に関する集中検討会議は、毎日、読売、日本経済、産経のからヒアリングを行ったのだそうだ。菅直人首相は、一体何を考えているのだろう。大新聞社を味方につければ、千人力と思っているのだろうが、あまりにも安易だ。さらに、そこでのマスコミの発言も、腹ただしいい限りだ。消費税を上げろとか、年金の支給年齢を上げろとか、言いたい放題である。まずは国民の声を聞くのが先だろうに、どうして大新聞なのだろうか。官房機密費でも使って、世論をリードしたいのだろう。民主党はマニフェストの財源は出てくると大見得を切っていたのであり、嘘をついたのだから、正直に謝るしかない。大新聞に助けてもらおうとする政府というのは、国民から見ては、おぼつかないことこの上ない。福田恆存は「偏見を偏見として多様性のままに打ち出せる方法は小新聞の発行です」(『言論の自由といふ事』)と書いている。物の見方が一つだけでないということを、国民もそろそろ気づくべきだろう。消費税アップで大新聞社が一致するというのは、大増税に踏み切りたい、民主党政権の意向に沿うだけではなかろうか。今でもまた大新聞社の論調というのは、偏見というよりも、財務省に押し付けられた常識の範囲なのである。
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