日露首脳会談が現在行われているが、アメリカだけではなく、ロシアとの関係も改善して、我国のとって脅威である中共や北朝鮮に対抗しようとする目論見が、安倍首相にはあるのだろう。日本国民には北方四島の返還は切実な叫びではあるが、ロシアが中共と共同歩調を取ることだけは、絶対に阻止しなくてはならないのである▼戦後の長きにわたってソ連は、日本にとって一大脅威であった。それに備えるために。陸上自衛隊は北海道に虎の子の第七師団を置き、最新鋭の戦車部隊を配置したのである。スクランブルもかつてはソ連機に対してのものであった。それが今では南西諸島に力が割かれるようになった。ロシアとの友好関係を築けるかどうかは、日本にとって死活の問題なのである。ロシアに接近しようとするのは、安倍首相が日本の危機を痛切に感じているからだろう▼昭和55年の時点で倉前盛通は「現在ロシアを支配している権力がソビエト・ロシアであろうと、あるいは帝政ロシアであろうと、いずれを問わずロシアが全世界を支配しようとする国家戦略を有し、それを実現するために一つの基礎的な建設としてハートランド・シベリアの建設に努力している以上、これに協力することはリムランドの東端に位する日本としては、はなはだ危険なかけであるといわざるを得ない」(『新悪の論理 日本のゲオポリテックスはこれだ』)と述べていた。あえて危険を承知で平和条約締結に動いているのは、それだけ今の日本が追い詰められているからなのである。
←応援のクリックをお願いいたします。