草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

今保守派が見直されているのは聖なるものへの願望があるからだ!

2013年11月15日 | 思想家

 戦後の新京都学派の代表は梅棹忠夫であるが、彼の着眼点は優れたものがあった。人間の生きがいというのは、神聖な価値に裏打ちされていなければならないことに気付いていたからだ。梅棹は『わたしの生きがい論』のなかで、それを分かりやすく解説している。「人間の心のなかには、聖なるものへの願望と、俗なるものへの欲求とが、あいならんで存在しているもののようです。そして、人間の歴史のなかでは、聖なるものと俗なるものとが、からみあってながれているようです。ある時代には神聖なものが優先し、ある時代には世俗的なものが優先します」と解説している。現世の幸福の追求とか、生活水準の向上とかとは違って、精神的なものが日本社会が重きを置くようになった。その点を踏まえて、梅棹は「明治以来の国民の努力の蓄積、あるいはそれ以前からの文化的伝統の上にたって、いちおう、飢えからは解放され、物質飢餓症からも解放された、大衆的消費社会が現出しているのです。そこには、世俗的欲求がいちおうみたされた、巨大な大衆が存在しているのです」とまで書いた。梅棹は歴史的経過として、「昔の神聖行為というのは、じつは、生活のみちたりた、少数の特権者たちのものだった」のと比べると、ようやく今の時代になって「大衆の精神的武装が可能になったということ、精神世界への大衆参加の道がひらけてきたことであろうと評価しているのです。現代は、大衆的神聖行為の実現する時代なのです」とまで言い切ったのだ。あくまでも期待をこめてではあるが、私は本質を突いていると思う。ネット上で主導権を握っている保守派の人たちは、世俗の価値以上に精神的な価値を重視している。梅棹のその本が世に出たのは昭和56年のことであるが、そのときから日本は変わりつつあったのだ。

政治 ブログランキングへ

                    ←人間の根底には聖なるものへの願望があると思う方はクリックを

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へ

にほんブログ村   blogramで人気ブログを分析

https://twitter.com/Minetakesi ツイッターも始めましたのでよろしくお願いいたします。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「開かれた皇室」を推進すれば天皇の存在意義は否定されてしまう!

2013年11月15日 | 思想家

 今の宮内庁はどうかしているのではないだろうか。天皇陛下の葬儀に関して陛下御自身の「お気持ち」を発表して、「開かれた皇室」を演出しようとしている。昨日のニュースステーションなども、それに追随するような内容であった。さらに驚いたのは、天皇陛下が山本太郎参議院議員の身を案じていることを、宮内庁の風岡典之長官が昨日明らかにしたことだ。三島由紀夫は林房雄との『対話日本人論』において、明治憲法における天皇について「明治憲法の発布によって、近代国家としての天皇制国家機構が発足したわけですが、『天皇神聖不可侵』は、天皇の無謬性の宣言でもあり、国学的な信仰天皇の温存でもあって、僕はここに、99パーセントの西欧化に対する、1パーセントの非西洋化のトリデが、『神聖』の名において宣言されていた、と見るわけです」と述べていた。その1パーセントを否定したのが戦後の日本国憲法であり、あろうことか、平成の世になって、天皇陛下を天皇陛下たらしめている根本すらも見失われようとしているのだ。天皇の一番大事な行事は大甞祭(おおなめまつり)である。三島はその点を重視して「あれはやはり、農本主義文化の一つの精華ですね。あそこでもって、つまり昔の穀物神と同じことで、天皇が生まれ変わられるのですね。そうして天皇というのは、いま見る天皇が、大甞祭のときに生まれ変わられて、そうして永久に、最初の天照大神にかえられるのですね。そこからまた再生する」との独自の天皇観も披露したのである。祖型としての天皇がまずあるのであり、時代とともに変化したとしても、最後の一線は守らなくてはならない。その意味からも「開かれた皇室」の演出は、最終的には天皇を認めない勢力に手を貸すことなのである。

政治 ブログランキングへ

                    ←天皇は神聖であられるべきだと思う方はクリックを

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へ

にほんブログ村   blogramで人気ブログを分析

https://twitter.com/Minetakesi ツイッターも始めましたのでよろしくお願いいたします。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする