「会津ジャーナル」遠藤勝利取材メモ

遠藤勝利の取材内容を掲載していきます。

小熊代議士への貸付け金600万円疑惑

2017-09-29 11:34:04 | 疑惑の真相

赤羽公設秘書「違法ではない」と反論

「600万円はまだ返してもらっていない」

 別件の取材で間延びしたが、9月6日付の「取材メモ」で報じた民進党の小熊慎司衆議院議員が公設秘書からの借入金600万円(政治団体「慎友会」の平成27年度分政治資金収支報告書)について、9月27日早朝、当事者の公設第2秘書赤羽勝範氏の自宅を訪れ、本人を直撃した。
 玄関先で応対した赤羽氏の言い分はこうであった。
「秘書が自分の代議士にカネを貸しても違反ではない。だから(カネを貸した)自分の名前を政治資金収支報告書にそのまま記載した」
「それなのに(「取材メモ」で)私が何か悪いことをしたように書かれた。何も私の名前を出すことはないでしょう」と、まずは抗議を含めて反論。
 さらに「渡部恒三先生のときも同じように自分の貸付け金を収支報告書に記載してきた。事務所を預かる者として、自分のカネを出して処理せざるを得ないときもある。恒三先生のときは、先生が引退したあと全額返済してもらった」と強調する。
 取材記者が「小熊先生に貸したという600万円はすでに2年も経っているのだから、返してもらっているんでしょうね」と尋ねると、「まだ返してもらっていない」と赤羽氏。
「600万円ものカネを貸付けているんだから、当然、先生から借用証をとっているのでしょうね。返済期限とか、担保はどうなっているんですか」
 この問いに赤羽氏は何ら反応せず、沈黙したままであった。
 赤羽氏が「もう出掛けなければならない」というので、やりとりは以上であった。
「小熊先生に貸したカネはすでに全額返してもらった。短期間のことなので、借用証もとっていない」といえば済む話なのに、「まだ返してもらっていない」とは、赤羽氏は「以外と正直な人なんだ」というのが、取材記者の率直な感想である。

公設秘書の任免は国会議員の判断

「政治資金規正法」では、その借入金については、その借入先が個人であろうと、金融機関であろうと問わないことになっている。小熊代議士の赤羽秘書からの借入金は、このことにもとづく収支報告書の記載とみられる。
 ただ、公設秘書という身分の赤羽氏が自分の先生に600万円ものカネ貸付けているということが、果たして額面通りなのかという疑問を、先の「取材メモ」で提起しただけである。
 赤羽氏は、4年前の平成25年8月には小熊代議士(比例東北、維新)の公設第2秘書に登録されている。国会議員の公設秘書は特別職の国家公務員であり、「国会議員の秘書の給与等に関する法律」にもとづき、給料(秘書の区分、在職期間、年齢に応じてその額が定まり、昇給もある)のほか、住居手当、通勤手当、期末手当、勤勉手当が国費から支給される。また、災害補償や退職金が定められ、健康保険と厚生年金が適用される。
 公設第2秘書の場合、給料月額が26万8,000円~39万3,400円。等級、号級の区分によって給料月額が異なってくるが、単純計算でも給料月額35万円とすれば年間420万円、期末手当や諸手当を含めると、最低でも年間5~600万円の支給になるのではなかろうか。
 公設秘書は、各国会議員が補佐役として採用し、その議員の所属する院の議長の同意を得て届け出ることになっている。つまり公設秘書としての身分は、その国会議員にゆだねられている。公設秘書の任免は国会議員の判断ということである。
 もちろん、渡部恒三代議士の地元秘書を長年務め、選挙区の事情にも詳しい有能な赤羽氏を小熊代議士がそう簡単に手離すはずもない。

「代議士にくれてやったのでは」との見方も

 ところで、政治とカネ、不透明な政治資金をめぐる問題として、衆議院または参議院から支給される秘書給与を騙し取って、事務所経営費などにあてた秘書給与詐取事件が相次いだが、これらの事件に関連して問題となるのが、議員が公設秘書に献金を強制する事例である。
 政治資金規正法上は、①年間5万円以上の寄付は、寄付した者の氏名を記載する。②1個人が1つの政治団体に年間150万円までなら寄付できる―などの条件をクリアできれば違法ではない。

 しかし、国会議員秘書給与法第21条の3の規定では、公設秘書に対する政治団体への寄付の強制や勧誘は違法である。
 また、公設秘書の任免という議員の職務に関して公設秘書から献金が行われた場合には、贈収賄が成立するという専門家の指摘もある。
 政治団体「慎友会」の収支報告書(平成27年分)では、小熊代議士の赤羽秘書からの借入金は同年1月30日、3月10日、9月30日付で各200万円ずつ計600万円である。
 この600万円という金額は、立候補者の供託金が小選挙区300万円、比例代表東北選挙区300万円の計600万円に符合する。前回衆議院選挙は平成26年12月14日投票で行われ、小熊氏は小選挙区で2期目の当選を果たした。
 供託金の計600万円は小熊氏に戻っているわけだが、この供託金を用意したのが赤羽秘書だった可能性がある。赤羽氏本人が貸付けという形で提供したか、あるいは第三者から借りたが、その人の名前を出さないように、赤羽氏の名前で収支報告書に記載した、とも推測できる。
 ところが供託金の600万円は別の返済や支払いにあてられてしまい、赤羽氏が語るように「まだ返してもらっていない」ということなのかもしれない。
「仮にそうだとしたら、代議士に600万円をくれてやったことになりはしないか。公設秘書の身分と引きかえに給与の1年分ぐらい先生にバックしても安いものだ」。会津の政界情勢に詳しい事情通はこうしたうがった見方をする。
 いずれにしても「取材メモ」で提起したのは、政治資金収支報告書に記載された内容に対する率直な疑問である。政治とカネ、政治資金の透明性の確保にかかわる事柄であり、小熊代議士と赤羽秘書はさまざまな疑念をもたれることのないよう十分な説明責任を果たすことが必要なのではないか。


室井照平市長も公選法違反の疑い

2017-09-20 08:39:18 | 疑惑の真相

市長選収支報告書にビル所有者「アクーズ会津」隠し

前回の「取材メモ」では、平成26年12月の衆議院選で民進党の小熊慎司代議士の選挙事務所の届け出が会津若松市白虎町116-29(旧半沢ビル)になっているのに、選挙運動費用収支報告書にはその記載がまったくなされていない問題を指摘した。

翌27年7月26日投票の会津若松市長選でも、室井照平候補(無投票で再選)が同じ建物を選挙事務所に使っているが、この選挙事務所の借上料5万円の領収書が「むろい照平連合後援会」から「むろい照平選挙事務所」宛に発行されるというおかしなことになっている。

旧半沢ビルの当時の所有者は(株)アクーズ会津(熊田広美代表)である。したがって建物の何室かを一定期間選挙事務所に借上げたむろい照平連合後援会が賃料を支払い、所有者が連合後援会に領収書を発行するのが普通なのだが、不思議なことに収支報告書にはアクーズ会津がまったく出てこないのである。

小熊代議士の場合、選挙事務所の届け出が旧半沢ビルなのに、選挙運動費用収支報告書には建物所有者であるアクーズ会津の記載はなく、磐梯町源橋の(株)ソルカ(鈴木政英代表取締役)への「立候補準備の事務所借上料」として37万4,400円の支払いを記載している。

小熊代議士、室井市長に共通しているのは、選挙運動費用収支報告書に選挙事務所に使った建物の所有者アクーズ会津隠しを行っていることである。室井市長にいたっては、建物の所有者でもない連合後援会が、自らの選挙事務所宛に借上料5万円の領収書(平成27年7月26日付)を発行しているのだから、まさに金太郎飴である。

公選法にもとづく選挙運動費用収支報告書に実態とは異なる記載がされても罷り通るものなのだろうか。

この点について市選管委事務局は「選挙運動費用収支報告書はあくまでも自主申告であり、領収書の裏付けがどうかなどのチェックはしていない」としている。室井候補の出納責任者・庄條徳一氏(元県農協五連会長)は「出納責任者を依頼されたこともないし、引き受けたこともない。何かの間違いではないか」「選挙事務所借上げ料の領収書についてもまったく知らない」と自身が出納責任者だったことを全面的に否定している。

出納責任者として庄條氏の名前を室井候補が勝手に使っていたとすれば、明らかな公選法違反である。

旧半沢ビルの土地、建物は平成25年12月13日付で半沢重男氏から管・機械設備工事業者のアクーズ会津に所有権が移転(売買)、さらに2年後の27年12月3日付でアクーズ会津から主に人材派遣業のソルカに所有権が移転(売買)している。

アクーズ会津は郡山市の共同設備工業(株)の系列会社になり、平成28年度の完工高が約28億6,000万円と会津方部では業界トップの実績。管工事関係の公共工事が圧倒的に多い。

小熊代議士、室井市長の前回選挙運動費用収支報告書にそれぞれが使った建物の所有者アクーズ会津がまったく出てこないのは、つまりアクーズ会津隠しが行われたのは、同社が数多くの公共工事を手がけているから、表に出すのは都合が悪かったのか。それとも9月12日の「取材メモ」で紹介したように、旧半沢ビルは「オレのものだ」と鈴木政英氏が怒ったという近所の人の証言とどのような絡みがあるのか、今後さらに追跡していきたい。

室井市長の政治資金収支報告書
磐梯町・ソルカに計197万円を支出

ところで、むろい照平連合後援会(室井照平代表)の政治資金収支報告書(平成27年分)では、同5月8日付で(株)ソルカに「コピー機リース料」として6万4,800円を支出。また同4月28日付で事務所賃料21万6,000円、同8月12日付で駐車場整備料7万200円をソルカにそれぞれ支出している。

後援会事務所(東栄町、ニューパークハイツ東隣りの2階建て民家)の家賃は1ヶ月6万5,000円で、所有者I氏に毎月の支払いを記載してる。したがってソルカに対する5、6、7月の3ヶ月分、計162万円の賃料支払いは、後援会が別の事務所を借りていたということになる。それにしても1ヶ月54万円の高い家賃というのも不自然である。

駐車場賃料および駐車場整備料の駐車場はどこかということになるが、所在地は市内白虎町の旧半沢ビル東隣り、会津若松ワシントンホテルの旧第3駐車場ということであろう。いずれもソルカがむろい照平連合後援会宛に領収書を発行している。

なお、領収書ではソルカの代表者が代表取締役社長の鈴木正人氏になっているが、、同社の代表取締役は鈴木政英氏と2人。「取材メモ」では便宜上、ソルカの代表者をオーナーで代表取締役会長の鈴木政英氏に統一していく。

むろい照平連合後援会の政治資金収支報告書の記載はまぎらわしい点が多く、読者も理解しづらいものと思われる。したがってこの背景も含めて順次絵解きを進めていきたい。

 


小熊慎司代議士に公選法違反の疑い

2017-09-12 07:21:36 | 疑惑の真相

収支告書に選挙事務所・旧半沢ビルの記載なし

 平成26年12月14日投票の衆議院議員小選挙区福島第4区(会津方部)で2期目の当選を果たした現民進党の小熊慎司代議士の選挙事務所の届け出が会津若松市白虎町になっているのに、公職選挙法にもとづく選挙運動費用収支報告書にはその記載がまったくないことがわかった。小熊氏は維新の党からの立候補だった。

 小熊氏が県選管委に提出した選挙運動費用収支報告書には、「立候補準備の事務所借上料」として磐梯町更科字源橋の(株)ソルカ(鈴木政英代表取締役)に37万4400円の支払いを記載している。備考欄には、その期間が「12月2日~12月14日」となっている。12月14日は投票当日である。

 そして事務所借上料の支払い期日は「平成26年11月27日」となっていて、事務所を使う前に借上料を支払っていたことになる。

 磐梯町源橋のソルカ本社は、会津若松市の中心部から約15キロメートルも離れている。小熊陣営はそのソルカ本社で衆議院選の準備をしていたということであろうか。ちなみに小熊氏の後援会事務所は会津若松市役所本庁舎の東隣り、東栄町のニューパークハイツ1階である。

 小熊氏の県選管委への届け出は、選挙事務所所在地が「会津若松市白虎町116-29」の旧半沢ビル(現白虎ビル)。ところが選挙運動費用収支報告書には、この旧半沢ビルの部屋を借上げたという記載がまったくない。前記の「立候補準備の事務所借上料」の件とあわせなんとも不可思議な収支報告書である。

 平成26年12月の衆議院選で小熊氏が選挙事務所に使ったのは、旧半沢ビル1階であるのは間違いがないのだが、その事務所借上料が記載されていないのは、一体どういうことなのか。

 この旧半沢ビルは当時、(株)アクーズ会津(熊田広美代表取締役)が所有していた。会津若松市千石町に本社があるアクーズ会津は、平成18年12月、若松ガス化学工業(株)から商号変更。旧半沢ビルの土地、建物は平成25年12月3日付で半沢重男氏からアクーズ会津に所有権が移転(売買)、さらに2年後の27年12月3日付でソルカに所有権が移転(売買)している。

 したがって前回の衆議院選における小熊候補が選挙事務所に使ったビルの所有者は設備機器工事業者のアクーズ会津であった。

 では何故、選挙事務所をアクーズ会津から借上げた、と収支報告書に記載しなかったのか。その理由として、①アクーズ会津は当時、会津若松市や同市水道部、福島県、公立大学法人会津大学等の公共工事を数多く受注していて、国政選挙における特定候補者の選挙事務所の所有者として社名を表に出したんでは都合が悪かった。

 ②前回の衆議院選で小熊候補は、引退した渡部恒三代議士の陣営の全面的なバックアップを受けたことで、自民党の菅家一郎候補に競り勝って2期目の当選を果たした。

 この選挙を取り仕切っていたのがソルカの代表取締役鈴木政英氏である。鈴木氏は磐梯町長を5期20年間つとめ、平成28年4月には国から旭日小綬章の叙勲を受けている。磐梯清水平開発(株)の代表取締役でもあり、同町内では隠然たる影響力をもち続けている。

 その鈴木氏とアクーズ会津は以前からつながりが深く、前記の旧半沢ビルの売買の経緯からみて、選挙運動費用収支報告書に旧半沢ビルの選挙事務所借上料を記載しなかったのは、①とあわせ鈴木氏の意向によるものとみられる。

 選挙運動費用収支報告書に実際に使った選挙事務所の借上料が記載されていないのは事実で、収支報告書の内容が虚偽記載なのか、それとも不実記載なのか。いずれにしてもいい加減というか、不透明な収支報告書であることは確かであり、公選法違反の疑いがある。
 なお、小熊候補の出納責任者A氏とは今のところ連絡がとれないため、取材できずにいる。

内堀知事使用も記載せず―会津若松市白虎町の旧半沢ビル

 会津若松市白虎町の旧半沢ビルは内堀雅雄福島県知事も平成26年10月26日投票の県知事選で会津方部の選挙事務所に使っていた。

 しかし、同氏の選挙運動費用収支報告書にはこの事実が記載されておらず、選挙事務所費の項目に「立候補準備」のための「事務所賃料」として、10月4日付で32万4000円を同市上町の「吉原産業(株)」に支払ったという記載だけである。

 県選管委に届け出た内堀候補の選挙事務所の所在地は福島市方木田字水持代。政治団体のオール「ふくしま」復興・県民会議の事務所でもある。

 公選法施行令では、選挙区が広範囲にわたる場合、選挙事務所は2ヵ所設置できることになっているが、収支報告書には何故か会津若松市内における選挙事務所の記載がない。

 内堀候補が旧半沢ビル1階を選挙事務所に使っていたのは衆目の一致するところで、(株)ソルカ代表取締役の鈴木政英氏が会津方部の選挙を取り仕切っていた。

 自民党の運動員だった中年男性は「半沢ビルを使っていた内堀候補の選挙事務所にポスターやビラを取りに出入りしていた」と語る。

 また、旧半沢ビルの近所に住んでいる人は「知事選の直前に半沢ビルの内堀選挙事務所を訪れたら鈴木政英さんがいて、話をしているうちに『このビルは半沢さんのものだろう』と言ったら、鈴木氏が『これはオレのものだ』と真っ青になって怒った」「この時のやりとりは今でも鮮明に覚えている」と証言している。

 当時、旧半沢ビルの所有者が(株)アクーズ会津になっていたことは、あくまでも登記上ということなのであろうか。事実、平成27年12月にはアクーズ会津からソルカに所有権が移転している。

 ところで、内堀候補の「立候補準備 事務所賃料」(10月11日付)としての支払先である吉原産業の本社所在地は上町のセンチュリーホテル内だが、「選挙運動員9名分の宿泊費50,400円」と記載された宿泊先が当のセンチュリーではなく、「会津若松ワシントンホテル」なのである。なんとも理解に苦しむ収支報告書なのだ。



国会議員が公設秘書から借入金600万円!

2017-09-06 13:38:46 | 疑惑の真相

民進党小熊代議士の政治資金に数々の疑惑

民進党の小熊慎司衆議院議員の政治資金収支報告書(平成27年)に、同代議士事務所の公設秘書赤羽勝範氏から200万ずつ3回にわたり、計600万円の借り入れを記載していることが、4日までにわかった。

小熊代議士は平成26年12月14日投票の衆議院小選挙区福島4区(会津地方)で自民党の菅家一郎候補を破って2期目の当選を果たした。赤羽氏は渡部恒三代議士の地元秘書を長年務め、同代議士の引退にともない、小熊代議士の地元公設秘書として現在に至っている。

小熊代議士が赤羽公設秘書からの借入金600万円を記載しているのは、政治団体「慎友会」(小熊慎司代表)の政治資金報告書。「国会議員の秘書の給与等に関する法律」にもとづき、公設秘書は国費、つまり税金で給与等が賄われる特別職の国家公務員であるが、その公設秘書が自分の先生に600万円ものカネを貸付けるとは、一体どういうことなのか。常識外のことである。

小熊代議士は政治資金集めに四苦八苦している先生のようであるが、秘書の赤羽氏は資産家というわけではなく、ただの勤め人である。

「政治資金規正法」では、借入金については、その借入先が個人であろうと、金融機関であろうと問わないことになっている。小熊代議士の赤羽秘書からの借入金は、このことにもとずく収支報告書の記載とみられる。

しかし、公設秘書という身分の赤羽氏が自分の先生に600万円ものカネを貸付けているというのは、果たして額面通り事実なのかどうか。方便ということだと色々なケースが考えられ、疑惑を招くだけである。

こうした事例は特殊なものなのか、それとも国会議員の先生方に共通するやり方なのか。さらに調査、検証を続行していきたい。