かぶれの世界(新)

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58日目

2009-11-13 22:08:48 | 国際・政治

新政権が始めた予算査定の為の事業仕分けは、政権交代が無ければなしえなかった最も象徴的で新鮮な変化である。メディアは連日トップで報じ、概して非常に好意的な捉え方をしている。それは、議論が公開され仕分け判定の過程が誰の目にも明らかに見えるからだ。

仕分けのアイデアは財務省から出たもので、結局のところ彼らの狙ったとおりに議論が進んでいるとケチをつける声もある。だが、それは本質を理解していない捻じ曲がった考えだ。衆人環視の元で議論されることにより、税金が国民の手に戻すことになる画期的なものである。

寧ろ、財務省は議論の為に優れたアイデアを提出することが責任を果たすことと考えるべきだ。但し、彼等が自分自身をキチンと査定できると考えるのは期待しすぎで、財務省の予算についても第三者の目で厳しく仕分けする必要があるのは当然だ。

新政権になって58日経過した。その間に打ち出した政策は一貫性に欠け玉石混交という印象がある。例えば前原国土相の打ち出した一連の公共事業見直しは国のあるべき姿を強く意識したもののように感じるが、一方外交・安全保障の迷走とマクロ経済政策の欠如は不安を感じさせる。

又、新政権の目玉政策だった年金改革や脱官僚は腰砕けの印象を拭えない。小沢幹事長の中央集権型党運営や、2トップの政治献金問題対応は少なくとも国民の目には不十分と見られており、一旦風向きが変わった時「柔らかいわき腹」になる恐れは十分ある。

小沢幹事長の政策決定プロセス重視の考え方は共感する部分が多いが、権力志向の党運営手法が報じられるたびに居心地の悪さを感じるのは私だけではないと思う。かつての主張など忘れたかのような振る舞いは、一貫した政策の軽視、元々原則が無いかのような怖さを感じる。

しかし、自民政権が続いていたならどうなっていたかと消去法的に見るなら、総合して政策決定プロセスの透明化は、上記の不安要素をカバーして余りあるように感じる。少なくとも悪い影響が出たとしても、当面は高い支持で独自の政策を進められる時間稼ぎにはなると思う。

では何時まで時間稼ぎが出来るだろうか。直近の世論調査の内閣支持率の低下は、国民が少しずつ不安を感じ始めたことを示唆しているように感じる。だが低下は緩やかだ。判定が下るのは現実の景気や雇用回復が期待外れになるといった、「リアリティチェック」の点数が出て来る時だ。

私はその時期は年が明けた頃、つまり新政権誕生後100日前後になるだろうと予測する。以前に紹介したように、既に内外の投資家は新政権の経済政策では他国に投資するほうが魅力的であると判断した。私の僅かな投資成績を見ても回復が海外から来ていることは明らかだ。

鳩山政権の58日はこんなところでは無いかと思う。昔風に言えば及第点スレスレの「丙」は取れているのではないかと思う。しかしこの先100日経過後の現実は圧倒的であり、口先では何を言おうとその現実に如何に取り組むか、取り組む能力があるかが、結果で問われる。

最後に政治学者の大嶽秀夫氏の指摘「今日の日本政治にとって最大の不幸は、改革派が常にマクロ経済的には誤った政策を掲げ、政権をとった途端にそれを推進してきたことにある。そのため立ち直りかけた景気回復に冷や水を浴びせ続け、日本経済の失われた10年の最大の原因を作った」を繰り返さないよう祈りたい。■

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