ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

【中学下宿記】(29) 母子家庭激励会

2010年01月19日 | 中学生下宿放浪記
前代田(現前橋市南町)のO家は、奥さんが部屋にお膳を運んでくれて、
下宿人や家族の人達と一緒に食事をしない。これはこれまでの下宿には
なかったパターン。済んだ食器は、廊下にある大きな共通の机に置きます。
それぞれ自室で食事をすることで人との交流はありません。いわばクール
な関係の仲に時が過ぎていきます。やや大人びてきた中3の私にはぴったり
の下宿でした。
庭には井戸があり、そこで洗濯をします。まともに自分で洗濯をした記憶は
このO家の下宿だけの気がします。

これまでの喧騒の中にいたような生活が一変し落ち着きました。
生活環境というものは、精神状態へも大きく影響を与えるものです。

部屋でレコードを聴いていました。仏映画主題歌「太陽はひとりぼっち」。
僕も独りぼっちか・・などと感傷に浸っていましたら、接近している隣の
家から男の人の声がします。
「おーい、それレコードかい?もっと音を大きくして聴かせてくれ~」
「は~い、もう一回かけますよ~」
レコードをかけていてうるさがれたことはあっても、アンコールがあった
ことは初めて。この下宿の居心地の良さを象徴するような思い出です。

進路の迷いもありましたが、よくよく考えますと自分には贅沢な悩みとも
思いました。
3学期に入りますと早くも就職の内定が決まります。卒業後は上京し就職
する友もいます。自ら働きたいというなら良いのですが、どうも親の経済力
によって進路の選択が制約されている生徒が多いように思い、世の中の
不合理さを感じました。

最近では考えられないことです。今は親世代に余裕ができ、高学歴化が
進んでいます。親が進学を勧めても子が応じないケースまであります。

卒業近くのある日、校庭に十数人が集められ、目的も告げられず引率する
先生の後について、県庁前の群馬会館に行きました。そこは前橋市が主催
した「母子家庭激励会」会場でした。3学年750人中、わずか十数人でした
から、いかに母子家庭の家が少なかったかが分かります。女性が子供を
抱え自立して生きるには困難が多すぎました。帰路、お互いに話をすると、
高校の普通科に進むのは、私しか見当たりません。顔見知りの秀才のNG君
がいましたが、彼は高校卒業後は就職するので商業高校に進むという。
優秀な生徒が、経済的な理由で、思ったようには進学できない時代でした。

母に聞いても母子家庭への福祉施策はほとんど何もない状態。そうすると
激励会の会場でいただいたアルバムが、唯一の“公的援助”ということに
なりそうです。(つづく)

【写真】前橋市主催の母子家庭激励会で贈呈されたフォトアルバム。


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太陽はひとりぼっち

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