伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

県の審議会が1回で終わってしまったことへの抗議

2010-02-11 20:12:38 | 運動の紹介
 2月8日に、無所属市民派の阿部悦子県議が、愛媛県に申し入れをしたその文書を紹介しておきます。

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愛媛県知事 加戸守行様

                             2010年2月8日
                             環境市民 阿部悦子

「「四国電力の手前勝手な計算手法と、それを鵜呑みにした国の2機関、
県の委員会の問題を指摘する」

 知事は、去る1月29日の「伊方原発安全管理委員会」の審査により「耐震安全性が確認された」として、伊方原発3号炉のプルサーマル計画に最終的なゴーサインを出し、四国電力は明日2月9日、MOX燃料の装てんを行う事を公表しています。

 私は29日の「伊方原子力安全委員会」を傍聴した者として、この拙速で強引な、「プルサーマルありき」の委員会のあり方に強く抗議します。県は当委員会が耐震偽装問題を置き去りにし、委員から出された不安の声に答えることなく、会を終了したことに鑑み、MOX燃料を装てんしようとしている四電に中止させるよう申し入れます。

また以下の四電のごまかしを見抜くためには、1回のみの県の審議では不十分であったことは明らかであり、県民の生命・財産を守る義務を持つ県は、批判派の学者を参加させた上で安全管理委員会をやり直しするよう求めます。

 
1.1月29日の午前中「技術専門部会」において、京都大学の藤川陽子准教授から、耐震安全性の審査において国が四国電力の計算方法を妥当と認めた事に関しての質問がありました。「四電が採用しているパラメーター試算結果で『楕円クラック』を使っていることの妥当性」を問うものでした。国の答えは「30キロから40キロの断層では『円形クラックモデル』を使い、100キロを超えると『無限長クラックモデル』を使うが、その中間の長さでは『楕円形クラックモデル』を使っている」と答えました。 
 さらに詳しい説明を求めた藤川准教授の質問に「中間の長さでどのモデルを使うかの定説はなく、評価実施者により判断が異なる。今後中間事例のデータを集めて判断する」と答えました。また国は「円形クラックモデルでの計算のほうが楕円形クラックよりも、想定地震動の大きさがより大きくなる」ことも認めました。
 このやりとりはつまり、四電が耐震性の計算式で、中間の長さ、つまり54キロ、69キロ、87キロの断層の耐震性について「甘い結果」の出る「楕円形クラックモデル」を使ったと、国が認めたことになります。
 しかも、四電が国に提出したパラメータ試算には、「円形クラックモデル」を使わなければならない42キロの計算結果が書き込まれていません。
 その理由は何か、それは42キロを想定したほうが、54キロから87キロまでを想定して「楕円形クラックモデル」を使ったよりも、地震動を引き起こす力(応力降下量)が大きくなり、結果として地震の大きさは大きく見積もらなければならないからです。
 「安全管理委員会技術検討部会」は、耐震安全性の過小評価について、これ以上いっさい追及することもなく「耐震安全性を確認した」と結論付けたのです。これが、「安全管理委員会・技術検討部会」のレベルであり、実態でした。技術検討部会委員のお粗末を認めた愛媛県も、県民の生命をないがしろにするという点において同罪であり、さらに他の電力会社では行っていない「楕円クラックモデル」の、耐震性過小評価を発明した四電の計算を認めた国は、さらに「確信犯」と言えます。


2.四電の評価では現実に過去起こった地震におけるすべり距離が再現できていません。過去の伊予セグメントでの一回の地震あたりのすべり距離は2mであるが、四電が行った(この伊予セグメントを含む)87kmが一体となってすべった場合の断層モデルは157cmと、現実に及んでいない。これは断層モデルのなんらかのパラメータを過少に設定していることを示しています。
どんなもっともらしくモデル化をしたと主張しても、現実を再現していなければそのモデルは不適切です。

「プルサーマルは耐震安全性が確保されてから行う」と言ってきた知事は、以上の四電と国が行った「安全性の確保」のトリックについて、改めて検討する責任が、県民に対してあるはずです。知事は直ちにMOX燃料の装てんを中止するよう四電に申し入れを行ってください。


3.伊方原発安全管理委員会の午後の全体会では、複数の女性の委員から「国や技術検討部会の説明は難しく、理解できない」「地元の人たちの不安に対して、分かりやすく安全性を説明してほしい」などの意見が出され、高浜壮一郎副知事は「地元の皆さんに安全性の説明をしていくことを前提にして」MOX燃料の装てんを認めることを、委員に承認させました。
 しかし、この委員会から今日まで、地元住民にも県民にも、「分かりやすい説明」は、何ら行っていません。これは四電と県の見切り発車であり、副知事は安全委員会委員長の職責を果たさず、安全委員会までも欺くものです。 知事は、即刻MOX燃料の装てんを四電に中止させて、地元住民、愛媛県民に分かりやすい説明を具体的に行ってください。


4.私は、これまで本会議の一般質問や環境保健福祉委員会においてプルサーマルについて多くの疑義を質して来ました。500年も伊方に留め置かれようとしている使用済みMOX燃料の問題、関電が不良品としてメロックス社から受け取りを拒否した品質の燃料(ペレット)を伊方で使用する問題、四電トップに長い間在籍していた松野元氏が、伊方でもチェルノブイリ級事故が起こる可能性があり、プルサーマルを行えばその被害は数倍にも及ぶと警告した問題、プルサーマルは国の核燃料サイクルの破綻を糊塗するものであること、などの私の質問について県から県民への答弁はありませんでした。

 議会でこれらの問題に答えないまま、プルサーマルを推進する知事の姿勢は、議会制民主主義を破壊するものです。

 知事は近く退任の予定と聞きます。県民を不安と恐怖に陥れるプルサーマルを、説明責任も果たさないまま強行すれば、知事自身、将来に大きな禍根を残すことになるでしょう。今ならまだ間に合います。知事は即刻、四電に対して、MOX燃料の装てんを止めさせるご英断を強く申し入れます。
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