伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

愛媛県議会での論戦(H16年6月議会その2)

2006-04-20 14:57:21 | 関係資料
県議会のホームページに掲載されている議事録
http://www.kensakusystem.jp/ehime/
より、2年近く前からのプルサーマル問題に関する愛媛県議会本会議での質疑内容を紹介しておきます。

●平成16年 第287回定例会 (第4号 6月14日)No.23 佐々木泉議員(日本共産党)
 2番目の質問は、四国電力のプルサーマル計画についてです。
 もともとMOX燃料を使うようにできていない伊方原発3号機などの軽水炉でのMOX燃料使用は大きな危険を招来します。プルトニウムの増加で融点が低下する上、プルトニウムが中性子を吸収するため制御棒が中性子を吸収しにくくなり、ブレーキがきかない。灯油ストーブでガソリンを燃やすようなものだと指摘する学者さえいます。事故が起これば悲惨なことになります。事故の比較研究では、通常運転に比べ、MOX燃料3分の1のプルサーマルは、被曝量が2倍になると報告されています。
 また、使い終わったMOX燃料には毒性の強いダーティープルトニウムが含まれ、この使用済みMOX燃料を再処理する場所は、フランスでの過去のわずかな経験を除き世界のどこにもありません。一部に、使用済み核燃料がどんどんたまるからプルサーマルはやむを得ないという意見もありますが、プルサーマルを一たん始めると、今度は、通常の使用済み核燃料よりさらに始末の悪い使用済みMOX燃料がたまることになります。アメリカのような1回使い切りの方がまだしもです。
 さらに、ウラン燃料に比べて6倍の製造費用がかかるのがMOX燃料です。コスト高で採算がとれないことは明白であり、電力業界はバックエンド費用を国と国民へ押しつけようとねらっています。
 このような中で、県が与党各派にプルサーマル容認のスケジュール表を配付したことは重大です。
 これによると、今年9月県議会前に早くも国への申請を了解、国の許可を経て、2006年ちょうど2年後の7月に県と伊方町の了解でプルサーマル開始へという段取りになっています。県は、このスケジュール表は誤解を招くからつくり直したと言いますが、どう読んでも誤解の余地なくプルサーマル推進の方針書です。県民環境部長は、すべてがうまくいけばこうなるという段取りを示しただけと新聞に語りました。すべてがうまくいけばなどという表現自体、プルサーマルに肩入れした言い方です。大体、四国電力の申し入れが5月10日、スケジュール配付が同じ5月10日、随分手回しのよいことではありませんか。
 これを読むと、この6月に県は、国と四電へ住民理解促進活動を要請するとある。なぜ県がそんな要請をするんですか。国と四電がプルサーマルを推進していることは御存じのとおりでしょう。住民理解促進の活動というのは、プルサーマルの宣伝のことではありませんか。その宣伝をやってくれというのは、県が最初からプルサーマル容認、推進の立場であることを誤解の余地なく示しています。
 そこで、第1に、住民理解促進活動とは何か。プルサーマルを肯定し宣伝するものではないのか。少なくとも中立的な立場の内容ではないと考えるがどうか。
 第2に、それを県が要請することは、県がプルサーマル推進の立場だということになるがどうか。

 第3に、県は既に国と四電に住民理解促進活動を要請したのか、いつしたのか、まだなら要請しないように求めるがどうか、お答えください。
 本当の住民理解を促進するというなら、福島県のようにやってはどうでしょう。福島県は、1998年にプルサーマルの事前了解をしていましたが、MOX燃料のデータ改ざん事件やJCO臨界事故などで、国の原子力政策に疑問を持った佐藤栄佐久知事が、2001年5月に福島県エネルギー政策検討会を設置し、検討の結果、プルサーマルなどの核燃料サイクルについては、一たん立ちどまり、今後のあり方を国民に問うべきではないかとして、2002年9月26日、プルサーマル凍結を表明。10月5日には、自民党福島県連が、プルサーマルの事前了解を白紙撤回すべきだと要望するに至りました。
 このように福島県では、かつてプルサーマル推進派であった知事が先頭に立って、国や電力会社の見解への依存から脱却し、独自に判断してプルサーマル凍結という結論を下しました。このエネルギー政策検討会の構成は、知事、副知事、出納長の三役に、各部長、教育長から県警本部長などすべての部長級幹部から成っており、すなわち全庁の英知を結集してプルサーマル凍結という結論に達したのです。
 本県でも、このくらいの年月と体制をとって検討していただきたいと私は思いますが、この福島県の取り組みを研究しましたか。また、佐藤知事のこの姿勢についてどのような感想をお持ちですか、お答えください。
 さて、四国電力は、プルサーマルの採用理由について、第1に、プルサーマルは国の方針、国策である。第2に、プルサーマルは、国内外に豊富な使用実績があり確立された技術である。第3に、使用済み燃料から回収したプルトニウムを利用することで原子燃料サイクルを確立し、将来にわたるエネルギーの安定供給に資することができるなどの理屈を連ねていますが、この3点が、ことごとく誤りを含んでおり検討が必要なものです。
 まず第1のプルサーマルが国策だという点ですが、その国策が揺らいでいます。電力業界からも見直しの声が出ています。次の原子力開発利用長期計画で政策の見直しがあるのではとの観測もされています。
 第2の国内外に豊富な使用実績という点も問題です。大体世界の原発は何基あって、そのうち現在何基でプルサーマルが実施されているというのか。かつて実施したが今やめている国はどこどこで何カ国か、今実施している国はどこどこで何カ国か、お答えください。
 プルサーマルを実施した国のうち、イタリア、オランダ、スウェーデン、アメリカ、インドの5カ国はもうやめていますし、ドイツとベルギーで脱原発法が成立しましたから、残るのはフランス、スイスのたった2カ国。建設中、計画中を含む世界の原発国が36カ国の中で、プルサーマルがいかに少数派かがよくわかると思います。また、世界の原発436基のうち、現在プルサーマルを実施しているのは33基、10分の1にも満たない少数です。四国電力は、こういう最近の世界の動きには関心がないらしく、プルサーマルは国内外に豊富な使用実績があるというばかりです。
 また、四電は、MOX燃料は世界で4,000体もの使用実績があると言います。世界最初の原発が運転を開始して以来の燃料総数は何体あって、MOX燃料4,000体はその何%になるのか。また、現在の世界の原発の燃料総数は何体あって、そのうちMOX燃料は何体なんですか。それがわからないと4,000体が豊富か貧弱かわからないじゃありませんか。
 私の手元の数字では、原発の運転開始以来80万体の燃料を使ったとのことですから、MOX燃料4,000体とはたった0.5%、豊富などころかゼロがつく。外国の各原発で、実際にどのようにMOX燃料を使ってきたかという個別データを県として入手し検討しましたか。していないのであれば、いつするつもりですか、お答えください。
 日本国内の実績ということになると、MOX燃料の使用はほとんど意味をなさないほど少しです。美浜1号機では、燃料総数121体のうちMOX燃料は4体。敦賀1号機では、308体のうち2体。そんな前例しかないのに、伊方3号機で一挙に40体も使うというのは無謀としか言いようがありません。
 四電が、国内実績として新型転換炉ふげんの例を挙げているのもまことに不見識です。ふげんは初めっからMOX燃料を使えるようにつくってあり、全く参考にもならない代物です。そんなものまで持ってこなければならないほど実績がないのがプルサーマルである。つけ加えますと、ふげんは昨年3月に運転終了、その一生は事故と故障のトラブル続きの25年間でした。しかも、かかった費用が4,500億円なのに収入が2,000億円。電気とともに大赤字をつくり続けてまだ終わらず、これから解体処理に1,000億円かかります。ふげんをここへ持ってくるのは二重三重に不見識です。
 さて、伊方3号機で使い終わったMOX燃料は、どこに置いておくのですか。また、どこで再処理するのですか。国は、2010年に考えるなど言っていますが、プルサーマル開始予定の年に考えるというのでは、トイレのないマンションに入居してからトイレをどうするか考えるようなものではありませんか。
 さらに、経済性も問題です。
 MOX燃料の製造費とバックエンド費用を加えたプルサーマルの発電単価と現行のウラン燃料による発電コストとの比較を示されたい。私の手元の資料では、100万kw原発1年分のコストは、MOX3分の1のプルサーマルの場合111億円ないし131億円かかり、ウラン燃料だけの44億円の2.5倍から3倍かかります。こんなばか高い電気は、電力自由化になれば一遍に吹っ飛んでしまいます。
 最後になりますが、そんなにまでして伊方原発で無理して発電した電気が、愛媛や四国でなく関西などよそで使われるという問題です。一体四国電力の四国外への売電はどのくらいあるか。それは原子力の発電量の何割相当か。また、四国外からの買電、買い電ですが、どのくらいあるかお答えください。私の計算では、2003年度の原子力による発電量は151億kwh、四国外への融通は74億kwhですから、原発でつくった電気の半分相当がよそへ行っていることになります。
 プルトニウムが余って困るというのなら、プルトニウムを生み出す原発の運転をこそ見直すべきだと指摘して、質問を終わります。(拍手)

No.27 加戸守行知事
 佐々木議員の質問に答弁さしていただきます。
 伊方原発のプルサーマル計画に関しまして、プルサーマル凍結を決めた福島県の取り組みを研究したかどうか。また、福島県知事の姿勢についてどのような感想を持っているのかとのお尋ねでございました。
 原子力政策に関しますさまざまな動きを知ることは重要でありまして、愛媛県といたしましては、福島県の取り組みや原子力政策に対する意見、さらに、それに対する国の原子力委員会の基本的考え方等につきましても、情報収集をし研究してまいってきているところでございます。
 福島県におきましては、電源立地県として、同県における原子力発電等に係る諸情勢を勘案した上でプルサーマルの凍結を決定したものと理解しております。私は、現在の国の原子力政策は、先般、玉井議員にもお答えしましたとおり、現実的かつ妥当なものと基本的には考えております。
 しかしながら、伊方原発のプルサーマル計画につきましては、当然のことながら、愛媛県民の安全、安心に直接かかわる重要な問題でありますことから、県としましても、その伊方原発3号機におけるMOX燃料使用に関しましては、その安全性を十分確認いたしますとともに、地元の意見や県議会の議論を踏まえまして、総合的に判断することが必要であると認識をいたしております。

No.33 石川勝行県民環境部長
 伊方原発のプルサーマル計画について、住民理解促進活動の要請についてのうち、住民理解促進活動とは何か。プルサーマルを肯定し宣伝するものではないかとのお尋ねでございました。
 お話の住民理解促進活動は、伊方3号機のプルサーマル計画について、地域住民が正しく理解し、十分な知識を持って、その是非を適切に判断していただくための説明会やシンポジウム等であり、地域住民の要望や伊方原子力発電所環境安全管理委員会の審議の結果、必要と判断された場合に、国や四国電力に要請することを想定したものでございます。
 このため、要請することとなった場合には、議員御指摘の安全性や経済性の問題についても、科学的、客観的な視点から十分な説明が行われるよう求めたいと考えております。
 次に、住民理解促進活動を県が要請することは県がプルサーマル推進の立場だということになるがどうかとのお尋ねでございました。
 県が想定している理解促進活動につきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。地域住民の視点に立って行われるものでございます。また、伊方原発におけるプルサーマル計画につきましては、先般、玉井議員にお答えいたしましたとおり、県といたしましては、白紙の状態から検討を進めることとしております。
 次に、県は、既に国と四国電力に住民理解促進活動を要請したのかとのお尋ねでございました。
 住民理解促進活動の要請は行っておりませんが、今後、本議会や伊方原発環境安全管理委員会での審議結果、さらには地元の意向を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 次に、四国電力のプルサーマル採用理由についてのうち、世界の原発は何基あって、そのうちプルサーマルが実施されているのは何基か。また、今やめている国及び今実施している国はどこで何カ国かとの御質問でございました。
 世界で運転中の原子炉は、2002年末現在、436基、そのうち35基でプルサーマルが実施されております。
 かつてプルサーマルを実施したが、現在実施していない国は、アメリカ、イタリア、インド、オランダ、スウェーデンの5カ国であります。また、現在プルサーマルを実施している国は、スイス、ドイツ、フランス、ベルギーの4カ国でございます。
 次に、世界最初の原発が運転開始以来、燃料総数は何体あって、MOX燃料4,000体はその何%に当たるのか。また、現在、世界の原発の燃料総数は何体あって、そのうちMOX燃料は何体かとの御質問でございました。
 世界の原発でのこれまでの燃料総数及びその中のMOX燃料の比率や現在の燃料総数及びその中のMOX燃料体数につきましては、国にも確認いたしましたが、対象期間が長期であり、かつ多国間にわたるため、調査は困難であるとのことでございましたので、御理解をいただきたいと思います。
 しかしながら、資源エネルギー庁の調査によりますと、2002年末までの世界でのMOX燃料の使用実績は、お話のとおり、約40年間延べ4,000体に上っております。
 次に、外国の各原発におけるMOX燃料の使用実績データを県として入手し検討したかとのお尋ねでございました。
 海外における各原発でのMOX燃料の使用実績については、例えば、フランスのサンローランB1原発では、1987年から2002年に炉内157体のうち装荷率最大31%。ドイツのウンターベーザー原発では、1984年から2002年に炉内193体のうち装荷率最大33%、スイスのベツナウ1号機では、1978年から2002年に炉内121体のうち装荷率最大34%など、個別のデータを入手しており、これまでMOX燃料に起因する事故の発生はなく、安全に運転されたことを確認いたしております。
 次に、伊方原発3号機で使われたMOX燃料はどこに置くのか。また、どこで再処理するのかとのお尋ねでございました。
 使用済みMOX燃料につきましては、国内で6カ所再処理工場に続く再処理工場が稼働するまでの間、発電所内の使用済み燃料プールに貯蔵することとなっております。
 なお、使用済みMOX燃料の再処理は、国内の東海再処理工場やフランスのラ・アーグ再処理工場で既に実績があり、技術的に可能であることが実証されております。
 最後に、MOX燃料の製造費とバックエンド費用を加えたプルサーマルによる発電単価と、現行のウラン燃料による発電コストとの比較を示せとのお尋ねでございました。
 国では、プルサーマルを実施した場合、再処理費用はかかりますが発電コストに占める再処理のコストは約1割であり、一方、ウラン燃料単独の場合には、再処理費用はかからないが別途処分費用が発生するため、両者は経済性において大きな差はないとしております。
 また、経済協力開発機構原子力機関の試算では、核燃料サイクルの発電コストは、ウラン燃料よりも1.5ないし2.5%上昇すると評価されているところでございます。
 以上でございます。

No.36 高浜壮一郎経済労働部長
 佐々木議員にお答えします。
 プルサーマル計画について、四国電力の四国外への売電はどのくらいあるのか。それは原子力による発電量の何割相当か。また、四国外からの買う買電どのくらいあるかとのお尋ねでした。
 四国電力によります四国外への売電量は、同社に確認をいたしましたところ、15年度実績で、74億1,800万kwhであります。これは機械的に比率を算出いたしますと、原子力による発電量の約49%に当たっておりますが、御案内のとおり、発電は、原子力、火力、水力をミックスして行っておりますので、区分けのできるものではございません。
 また、同社が四国外から購入した電力量は、28億2,300万kwhとのことでありますが、四国内からも含めた購入電力量は全体で82億6,600万kwhで、四国外への売電量とほぼ同量になってございます。これは電源の多角化によって電力の安定供給を図るために、電力会社同士で広域融通を図っているものと聞いております。
 以上でございます。

No.45 佐々木泉議員(再質問)
 それから2の(1)のア、これは要望ですが、2の(1)のアから申し上げます。
 住民理解促進活動とは、住民の正しい判断ができるように説明会やシンポジウムを開くことだとの答弁でした。結構です。結構だが、そういう説明会やシンポジウムなら、国や四電に求めるのは筋違いで、県として取り組んだらよろしい。そして、プルサーマル推進側でなく、反対する側にすぐれた理論家や運動グループの人がたくさんいるんですから、県からこの人たちにもお願いして、県民が賛成、反対両方の意見を通じて本当のことを知り、正しく判断できる説明会やシンポジウムを開いたらよろしい。そういう方向をこれは要求しておきます。

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