いか@ 武相境斜面寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

会津は奥羽越列藩同盟に加盟していないし、ましてや、容保(かたもり)公は、その同盟の盟主ではない。

2011年09月27日 19時33分26秒 | ぐち

   

『名前とは何か― なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか』(Amazon)、小谷野敦、(青土社)の116ページに書いてある;

 ― 偏諱に話をもどすと、会津藩主松平容保(かたもり)は、幕末期、京都守護職に任じられ、尊皇攘夷を唱え宮中に勢力を持ち始めた長州藩を、薩摩藩と協力して文久三年八月十八日の政変で追い落とし、攻め上った長州を禁門の変で打ち破ったが、その後長州征伐の最中に薩長が手を結び、将軍家茂が大阪城で没して慶喜が後を継ぎ、大政奉還ののちの鳥羽伏見の戦いで幕府軍が敗れると、慶喜、弟の桑名藩主松平定敬(さだあき)とともに江戸に逃亡し、慶喜は恭順する中で、奥羽越列藩同盟の盟主として薩長―官軍と戦って敗れたことで知られる。 ―

まつがい。  

つまりは、猫々センセは、こう言っている。

会津藩主松平容保(かたもり)は、奥羽越列藩同盟の盟主として薩長―官軍と戦って敗れたことで知られる。 (強調下線、いか@)

まつがい。会津藩は、そもそも、奥羽越列藩同盟には入っていない。関係があるはずがない。

でも、まさに、『名前とは何か』?!の問題である。もちろん、薩長―官軍と戦って敗れたことは事実である。しかし、会津藩は奥羽越列藩同盟には入っていない。ましてや、容保(かたもり)公は、その列藩の盟主ではない。

奥羽越列藩同盟、とは何か?

奥羽越列藩同盟とは東北諸藩が会津を救済するためにつくった同盟である。会津は同盟の目的の対象である。その対象者が盟主となることはない。たとえ話でいえば、会津君を救う会の会長に、救われるべき会津君がならないのは当然である。

それは、藩祖が戦国武将として超有名な由緒ある外様の大藩である、上杉家(米沢)と伊達家(仙台)が中心となって、「薩長クーデター政府」に対して、嘆願をした際に同意署名した諸藩の盟約に基づく同盟が、奥羽越列藩同盟の定義である。奥羽越列藩同盟の盟主は上杉・伊達、実際には伊達家という説を見る。一方、奥羽越列藩同盟が担いだ"天皇"、輪王寺宮[1]・北白川宮能久親王を盟主と書く例もある[2]。こういう混乱は当時には盟主は誰か?とか、その権限と責任などが特に意識されていなかったからであろう。現在の目から見て、盟主探しをしているのだ。

ただし、容保(かたもり)公ということはありえない。なぜなら、そもそも、会津藩は奥羽越列藩同盟には入っていないからだ。ただし、奥羽越列藩同盟を生んだ究極の原因は、容保(かたもり)公にあるとはいえる。

なぜ嘆願なぞしたのか? いじめ・不義・理不尽の傍観は許されないという義侠心;

猫々センセはいじめを憎む。それはいじめる張本人ばかりではなく、それを傍観する人間をも、猫々センセは憎む。

奥羽越列藩同盟の盟約書の第一にある;

強きを恃み、弱きを凌ぎ、或いは他の危急を傍観する者には、列藩を挙げて譴責を加える  (原文は漢文)

幼帝(むつひとちゃん、14歳)を戴いた「薩長クーデター政府」は、上杉家(米沢)と伊達家(仙台)ら東北諸藩に対し、会津藩と庄内藩の討伐を天皇の名のもとに命じた。具体的には、藩主・松平容保のクビを取れと言ってきた。

なぜ、会津藩と庄内藩"討伐"か? 簡単である。薩長がテロリストだった頃の治安担当を京都と江戸でしていたのが、会津藩と庄内藩だったからだ。典型的、逆恨みである。

京都・会津藩・蛤御紋の変:長州テロリストグループが、畏れ多くも、天皇陛下を拉致しようとした[3]。返り討ちあって当然である。敗残した長州が会津を憎む理由がこれだ。

江戸・庄内藩・薩摩藩邸「焼き打ち」事件:薩摩は幕府を挑発するため、江戸でテロ行為を頻繁に行っていた。黒幕は西郷隆盛だ。「薩摩藩が江戸市中取締の庄内藩屯所を襲撃した為、幕末の慶応3年12月25日(1868年1月19日)の江戸の三田にある薩摩藩の藩邸が江戸市中取締の庄内藩らによってに襲撃され、砲火により焼失した」(wikipedia)。テロに対する治安活動である。これまた当事者の庄内藩が、恨みを買った。

こんな理不尽な逆恨みを動機にしたちんぴらクーデター集団が、幼帝(むつひとちゃん、14歳)を戴いて、やりたい放題。そして、薩長は、会津藩と庄内藩をやっちまえと、仙台藩や米沢藩に命じた。こんな道理は通るはずもなく、通すべきでない。と、上杉家(米沢)と伊達家(仙台)はきちんと判断した。そして、薩長クーデター新政府を"たしなめた"のだ。

それが、上記の「嘆願」。 (なお、戊辰戦争、奥羽越列藩同盟に関する史実は、一般人が手に入れやすい新書に限っても、古くは、佐々木克・『戊辰戦争』(Amazon)(中公新書)、星亮一・『奥羽越列藩同盟』(Amazon)(中公新書)、最近は、友田昌宏・『戊辰雪冤』(Amazon)(講談社現代新書)などある。もちろん、いずれも、容保公が奥羽越列藩同盟の盟主であったとは書いてない。参考のためwiki・奥羽越列藩同盟から、元々は奥羽諸藩が会津藩、庄内藩の「朝敵」赦免嘆願を目的として結んだ同盟(奥羽列藩同盟)であったため、両藩は盟約書には署名していない(ただし両藩は会庄同盟を結成)。

■話が少し飛んで、同書、『名前とは何か― なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか』の43ページに書いてある。

 余談だが、のち福沢諭吉は咸臨丸で米国に渡り、初代大統領ワシントンの子孫がどうしているか米国人は知らないと聞いて、民主主義国家の特質を見たと書いているが、どうもこれは、事実だとしても、そのころフランスで、ナポレオンの甥が皇帝になっていた経緯くらい、福沢が知らないはずはないし、門地家柄を重んじる日本を批判するために、ちょっと驚いてみせたといったところか。どこの国でもある程度そういうことはあるし、第一日本人(この場合は武士)にしてからが、織田信長の子孫がどうしているか、知らなかっただろう。 (強調下線、いか@)

ここで、武士と限定しているのは、以前に、前近代の日本人が天皇を知っていたか?という論争があったので、庶民と偉い人たちでは違うだろうという観点が必要があったのだろう、と推定する。

なので、かなりまつがい。 教養ある武士は幕末において織田信長の子孫が誰であるか?知っていたはずである。 後述の通り;

江戸時代は武士こそが格差が激しかったとされている。高級武士なら、すなわち教育、情報に浴する機会に恵まれた高級武士であるならば、織田信長の子孫の行方を知っていただろう。なぜなら、江戸時代には織田を名乗る大名家が数家あったのであるから。高級武士ならば、織田信長の家だろうと、わかったはずだ。そして、21世紀のぬっぽん庶民はみんな知っている。織田信長の子孫がどうしているか?って。フィギュアスケーターだもんね。

さて、戊辰戦争と奥羽越列藩同盟の話に戻る。奥羽越列藩同盟の成立のため、伊達家と上杉家の両藩家老が召集したのは東北諸藩の27藩。その中の天童藩は来なかった。理由はこの召集の直前に、天童藩は京都から来た東北鎮撫総督府に"唆されて"、「朝敵」である庄内藩を攻撃。返り討ちにあって、天童藩陣屋は焼き払われる。天童藩主らは落城して仙台に落ちのびた。この落ちのびた殿さまが天童織田家の殿様である。佐々木克・『戊辰戦争』にある;

午前九時から一〇時にかけて天童城は庄内勢に完全に包囲され、藩主織田信敏家族一同は城を棄て、仙台領まで落ちのびた。このあと城に火をかけられ、民家三三三戸が焼かれた。織田信長直系の天童織田氏二万石の落城であった。

  愚記事、「新嘗祭の日に」より

[1]関連愚記事;今度、吉宗クンと竹田クン。  ;馬上宮様; 「大日本帝国貴顕御肖像」解読 

[2]奥羽越列藩同盟(おううえつれっぱんどうめい)は、戊辰戦争中に陸奥国(奥州)、出羽国(羽州)、越後国(越州)の諸藩が、輪王寺宮・北白川宮能久親王を盟主とし、新政府の圧力に対抗するために結成された同盟である。 wikipedia

[3]関連愚記事; 元祖拉致家族の末裔


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2 コメント

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名前とは何か (おちんちん)
2011-09-28 12:39:11
実名論争
http://togetter.com/li/193446
卑怯者のうた (いか@)
2011-09-28 19:50:06
猫々センセ、曰く;
『SPA!』で「右翼の反原発」というのがあったが、仮名とか匿名で写真までぼかしているやつがいた。匿名の政治運動家なんて、戦前か旧ソ連でもないのに、どこまでヘタレなんだ。

ヘタレのいか@です。こんばんわ。

匿名の卑怯者です。こんばんわ。

闘いお稲荷さん、とかかっこいい名前を付けたい衝動にもかられますが、やはり、いか@、です。それにしてもいいな、闘いお稲荷さん。スペルマ暴満みたいて、かっこよさそー。

戦前か旧ソ連みたいな時代と社会環境だと、妄想しています;⇒
「体制のせいだ」、といった25年前のチェルノブイリ事故 ::http://blog.goo.ne.jp/ikagenki/e/b9ee2bcd43d3d75ce9da71a6503c311a


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