いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

3月9日に<<9月16日>>を

2010年03月11日 20時01分53秒 | その他

茨城県立近代美術館

■ベルギーのアントワープ王立美術館大改修だそうだ。ルーベンスの本籍地で、ブリューゲルも出た街、アントワープ
Master plan for the Museum of Fine Arts

その間、アントワープ王立美術館の諸作品が世界を"巡業"しているらしい。そのひとつが「アントワープ王立美術館コレクション アンソールからマグリットヘ 展」。マグリットはマニアが多い。この絵なんか有名↓「白紙委任状」。



マグリットというからたくさん作品が来るかと思ったけど、3点ほど。上記「白紙委任状」は残念ながら来ない。そもそもアントワープ王立美術館所蔵ではないからだ。それにしても「白紙委任状」というのも人を食った題名だけれども、今回来た「9月16日」(下記ポスターの絵)も題名はやはり意味不明。絵は静かにぎょっとする。レミオロメンもびっくりである。

マグリットは友人たちに言葉を案出させては、自分が描いた作品に(適当に?、シュールに)つけていったとのこと。やっぱり、レミオロメンじゃないか!



■今回の作品群は近代美術の展開の教科書的展示であると言えるかもしれない。写実主義→印象主義→象徴主義→キュビズム→シュールレアリズムという流れ。フランス・パリの横にあるというベルギーの立ち位置、つまり19世紀以降の近代美術への巻き込まれているという状況と、片や、フランドル美術という"伝統"と実績を誇る立ち位置・状況にあったベルギーの近代美術の流れを典型的に表す作品をパッケージ化したコレクション展。フランドル美術の近代的展開としてぺルメークの「冬景色」とサデレールの「フランドルの冬景色」が展示されている。

■今回のベルギー近代美術展の作品群の作成年代は1880-1940年である。ベルギー国が"構築"されたのが1830年。ブリューゲルもルーベンスも、ルーベンスは"外交官"でもあったのだが、ベルギー国なんて知らない。ベルギー国は典型的近代国家に他ならない。つまり、ベルギー国には近代しかないのである。 それにしても、ラテン/ゲルマン境界、あるいはローマンカトリック/プロテスタント教会がこのベルギー国の中に走っていることになる。大文明、大国の狭間にある緩衝地帯の運命ではある。ブロムチモルブルーの気持ちがよくわかるはずだ。

  
「ベルギー」って何!?

●巡業は続く; この展覧会はこの水戸の後、広島→松江→東京と巡業するとのこと。<<9月16日>は東京です。