いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

小泉さんの謎

2005年09月13日 22時28分38秒 | 日本事情
9/13

■なんだったんだ小泉・自民大勝、について考える。どう考えるかというと、投票したのは国民(総体)なのであるから、小泉・自民に投票した人の気持ちを知ればよい。しかしながら、これは難しい。周囲には自民党に投票したひとが大勢いるのであるから聞けばいいのだが、それはあなたはどんなセックスが好きですか?と直接きけないごとく、そう簡単に聞けるものではない。つまり不可知である。

■えりーと・つすきずんのセンセ方におかれては、小泉新自由経済体制で損するはずの雑民がなぜ小泉・自民党を支持するのか?不可思議と疑問をもっておられる。例えば山口二郎センセ;

小泉路線で損をするはずの人々がこぞって小泉改革に喝采を送り、テレビや新聞がそれをはやすという構図は異常としか言いようがない。http://www.yamaguchijiro.com/

この異常事態を衆愚と言い切ってしまう弁護士センセもいらっしゃる。『日常生活を愛する人は?』-某弁護士日記; http://sky.ap.teacup.com/takitaro/

彼、選挙上手なんです。昔、政治学を学んだとき、政治という者は、国民を中学生だと思ってするものだ、と聴いた記憶。どんなに学歴平均があがろうと。
 それを認識していない野党も野党だが。
 票を動かす為には、確かにそうなんですよね、大衆社会というもの。


やっぱり、意地が悪いのは宮台センセは http://www.miyadai.com/index.php?itemid=283

過剰流動性と生活世界空洞化で不安になって「断固」「決然」の言葉に煽られる「ヘタレ保守」です。

と言い切ってしまう。

(ここのブログ・次はインテリゲンチアの再編で!by Parsleyの「添え物は添え物らしく」http://yaplog.jp/parsleymood/archive/262#tb宮台、山口へのコメント)

■そんなきびすいご意見に対し、ブログ「たゆたえど沈まず」さんは;
http://plus-ultra.cocolog-nifty.com/ultra/2005/09/2005_8ef4.html

民衆の声に耳を塞いではならない。民衆と共に歩く視線を失ってはならない。民衆を呪った時、どうしてあなたがたの言葉が彼らに届くだろうか。これは、まだ、民衆の勝利ではない。しかしあなたがたの敗北である。
民衆を侮蔑し、その心を思いやることを怠った、あなたがたの敗北である。彼らのあせりと怒りを嘲笑したあなたがたの敗北である。


と書いている。この記事にかぎらず読む価値ありブログ。

▼さて、以上は投票した国民はなんであったのか?をめぐる答えの出ない考察である。今度は小泉さんの謎について考える。小泉さんは体系的なイデオロギーを持っているのだろうか?それとも無意識にやっているのだろうか?小泉さんの頭脳の中身は置いといて、小泉さんの政治行動はむしろ体系的・イデオロギー的と言える。すなわち、国内的には新自由経済主義。官僚とつるんで所得を再分配してきた(つまりは福祉!)保守グループの撲滅。対外的には対米協調・対米従属、対中強硬姿勢。サッチャリズムの日本版だ。ただし、小泉さんは行動上の「敵」、つまり旧田中・竹下派や中国を、敵視・批判・批難・罵倒する口撃は絶対しない。しかしながら、実際には粛清し、靖国参拝で挑発している。なぞだ。全てわかっていてやっているのか、無意識にやっていることが結果的に体系的なのか?わからない。

▼こういう政治姿勢は、中曽根さんと大違いである。中曽根さんは、イデオロギー的であり、自分の世界像を明瞭に言語化し他人に喧伝する。だから時にしゃべりすぎて、まだ懲りないのかこのおしゃべり野朗!と同僚議員にさえ罵倒される。知識人も好きだ。知識人と世界像を競って喜んでいる。一方、中曽根さんは近代主義者である。皇室や靖国神社さえも手段とする。すなわち、終戦直後はひろひとさんは退位すべしと吉田茂に国会で勧告し、中国がなんか言えば靖国参拝も辞める。損得勘定はしっかりしている。だから風見鶏は朝飯前である。評論家プラス日和見政治家である。

▲この中曽根さんと比較すると、小泉さんは違うな、とわかる。おしゃべりしないけど、すごいことやっている。職人的、芸術家的政治家である。政治的感と決断に優れる。

●以上比較列記しただけで、小泉さんの謎は全然解けない。彼は何をめざしているのだろうか?



風見小鳥@家風伝承