さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 ルツェルン その3

2009年01月17日 | 海外旅行
ルツェルンは、クラシック音楽愛好家には、ルツェルン音楽祭の町として知れらていますが、ワーグナーやラフマニノフも住んでいた、音楽に縁の深い土地です。

ワーグナーがかつて住んでいた家は、現在、ワーグナー記念館として公開されています。



ワーグナー記念館は、ルツェルンの街から1kmほど湖畔を歩いた先のトリープシェンにあります。



背後には、ピラトス山が、鋭い山頂を見せています。



一階には、ワーグナーが引いたピアノや自筆楽譜が展示されており、二階は楽器博物館になっています。

ドレスデン革命で指名手配の身になったワーグナーは、ドイツから逃げてこのルツェルンに隠れ住みました。

この時、一緒に住んだのは、リストの次女で、良き友人であった指揮者ビューローの婦人のコジマでした。ワーグナーにも正妻がおり、コジマもこの段階では離婚はしていなかったので、完全なW不倫状態でした。

ワーグナーによってひそかに作曲されて、1870年のコジマの誕生日にプレゼントとして、この館の階段に楽師を並べて演奏されたのが、「ジークフリート牧歌」です。ワーグナーの管弦楽曲のうちでも、演奏機会の多い曲です。

コジマは、後に正式にワーグナーと結婚し、ワーグナー亡き後のバイロイト音楽祭の運営に手腕をふるうことになります。もっとも、ヒットラーとの交遊関係も深かったことからか、ワーグナー伝記のドラマでは、きつい雰囲気のちょっと嫌な感じの女性として描かれることが多いようです。



ワーグナーは、この家で「ニュルンベルグのマイスタージンガー」、「ジークフリート」、「神々の黄昏」を作曲しています。

ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ」でも、バイエルン王・ルートヴィヒ2世とワーグナーの交際の始まりとなる、王の使者がワーグナーに会いにくる場面で、この館が舞台になります。

館のテラスに出ると、目の前にルツェルン湖の風景が広がりました。ルツェルンの風光明媚な風景は、音楽家にインスピレーションをもたらしたようです。

ワグネリアンと呼ばれるワーグナー愛好家にとって、ここは聖地のひとつであり、私がルツェルンを訪れた目的も、ワーグナー記念館を訪問することでした。

夢を追いかけたバイエルン王・ルートヴィヒ2世の足跡を辿る旅は、また別な機会にじっくりと続けます。




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