ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

絶対計算

2011年11月28日 10時32分11秒 | Weblog
絶対計算について
   何か意味の分からない言葉を目にしたので、少し調べてみた。要するにコンピュータの記憶容量がギガとかテラの単位にまで大きくなってきたので、巨大なデータの集積をすることができるようになり、全く関係のないような二つの集合の間での相関関係を計算することができるようになってきたことを絶対計算というようだ。

    たとえば、北京の降雨量とライン川のブドウ収穫量の関係、毎朝顔を洗わない人とその人が自動車事故を起こす確率など一見何も関係がないようなことでも相関係数を出すことができる。さらには、最新医学データの集積によるその病気の治療法の提示、麻薬犯罪者の保釈を認めるべきか否か、どの政策がもっとも有効かなどについても答えを出すことが可能となってきている。
 
    技術革新が兆単位(テラバイト)のデータの集積を容易にしてきた。絶対計算は、医者、政治家、評論家などの専門家をおしのけて問題を解決する手段となってきている。著者は自ら絶対計算を駆使して政府の政策の有効性などを調査しているエール大学の教授で、誰でも理解できる数学の本である。それにしても、絶対計算という言葉はあまり適切な翻訳とは思われない。

*Ian Ayres「その数学が戦略を決める」山形訳、文芸春秋 1800円