ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

四面楚歌

2011年11月15日 11時18分11秒 | Weblog
四面楚歌の日本経済

八方ふさがりの日本経済

    経済は内需と外需から成り立っている。毎年、企業の生産性が上がり、それに伴い従業員の給料が増加すれば、輸出が振興して、国内でも消費が活発となる。この状態は1975年から10年ほど続いた高度成長期の話である。輸出拡大と内需振興が車の両輪となり経済成長の足となるのだが、現在は、円高で輸出は伸びず、給与ダウンや高齢化で消費人口も減っているから、車が回らない状態である。まさに、日本の置かれている状態は八方塞がりとか、四面楚歌という状況だ。

   

    すべてが右肩上がりで順調に回転しているときには、企業が多少の怪しげなことをしていても表面には出ないし、霞が関では官僚たちがしたい放題で、官舎を建設し、天下り先を作っても誰も文句をつけない。この回転が止まると、ちょうど春先のスキー場で雪が融けると落とし物やごみが表面に出てくるように、さまざまな不祥事や不都合なことが露見してくる。


    このような状況ではあまりじたばたしても物事の先は見えてこない。現在の日本で世界に誇るべきものをさらに成長させ、新しい芽を育てる教育こそに力を注ぐべきであろう。東日本大災害、原発事故、タイの大洪水で改めてわかってきたことは、日本のものづくりの技術がなくては、世界の生産は成り立っていかないことだ。

    ANAに導入された最新鋭の旅客機ボーイング787では機体の40%は日本製だ。確かにパソコン、車、テレビの完成品ではコストの安いアジアに技術が移転したが、実はこれらを構成する素材や部品では、未だに日本のものが圧倒している。この優位性を維持して行くには教育の力だ。これにカネを惜しんではならない。先輩たちはできるだけ若者の教育には尽力すべきであろう。