白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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Master対棋士 第49局

2017年07月15日 21時00分00秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日はMasterと元晟湊九段(韓国)の対局をご紹介します。
元九段は三星火災杯での世界戦優勝経験があります。



1図(テーマ図)
元九段の黒番です。
黒△と守られた場面、棋士が白を持っていればこう考えます。
「白A、黒B、白Cで黒を切断する手筋がある。
今すぐは黒Dとシチョウに抱えられて良くないが、周囲の状況次第では有力な狙いになるだろう」
ところが・・・。





2図(実戦)
何とMaster、白1、3を決め、黒4と抜かせてしまいました!
切断の狙いを無くし、黒のお手伝いにしか見えません。

しかし、Masterの真の狙いは黒△にありました。
得意の白5ツケから大きく睨み、そして白11と迫って行きました。





3図(実戦)
黒1、3と中央の勢力を重視して受けましたが、白4から切断に行きました。
黒△を飲み込むことになっては白優勢でしょう。





4図(変化図)
切れないように黒1などと守れば、白2のカケがぴったりです。
白△が働き、黒は上下の石を連絡させることができません。

なるほど、確かに白△を打った意味はありました。
ですが、疑問点もあります。
白△は先に打たなければいけない手だったのでしょうか?
本図黒1を見て、それから白△を打っても遅くないようにも思えます。
まだ打たなくても良いのであれば、保留して他の可能性も見ておいた方が良いはずです。

もっとも、実戦の進行は無数の可能性の中の1つに過ぎません。
先に白△を打っておかなければならない進行もあるのかもしれませんね。
先を見据えた好手なのか、味消しの悪手なのか?
その答えは人間にはとても出せないように思います。

ただ、この打ち方が最善手であるかどうかはあまり気にする必要は無いでしょう。
Masterが先を見据えて白△を打ったことを理解していれば十分だと思います。
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