白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第17局&棋聖戦結果

2017年02月16日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日、第41期棋聖戦(読売新聞社)第4局の2日目が行われました。
結果は河野臨挑戦者井山裕太棋聖に黒番中押し勝ち、シリーズ成績を2勝2敗としました。

各所で難解な戦いが起こりましたが、そこを乗り切っていく両者の技は、最高峰の戦いに相応しい見事なものでした。
特に河野挑戦者の持ち味である、精密な読みが光ったと思います。

ちなみに、封じ手予想は見事に外しました。
隅を捨てる発想は無かったのですが、打たれてみると流石と思いました。
碁盤全体を見た柔軟な発想でしたね。

本日は棋士の手合日なので、他にもグランドチャンピオン戦をはじめ、多くの対局が幽玄の間にて中継されました。
ぜひご覧ください。

さて、本日は昨日に引き続き、Masterと連笑七段の対局をご紹介します。
前局の直後に行われた2局目です。



1図(実戦)
連笑七段の黒番で、黒1と詰めた場面です。
白△が弱いので、まずは白Aと飛び出せば無難です。
すると黒もBあたりに進出する事になるでしょう。

しかし、Masterはその展開を選びませんでした。
その理由としては、左上は白が有利な戦場と判断している、という事が考えられます。
黒△と白△の比較では、白の石数が多いのです。
実際の判断基準はもっと複雑としても、白が有利に戦えるとの判断は理解できます。
白Aのような穏やかな手では、その優位を生かし切れないという事でしょう。





2図(実戦)
実戦は白1を一本利かし、白3と上辺から動きました。
自分の強い石から動いている嫌いもありますが、黒に目一杯迫っています。
その代わり黒6に迫られて左辺の白が弱くなりますが、黒の方が弱いので心配無いと判断しているのでしょう。





3図(実戦)
黒8までと進み、お互いの石はどちらも急には攻められなくなりました。
すると残った白△の石が、役に立つとみているのです。

さて、左上の戦いは一段落したので、他の大場に目を向ける事になります。
黒Aと押さえ込まれるのが気になりますが、それを防ぐには白Bがよく打たれる形です。





4図(実戦)
実戦は、白1以下のおまじないをしてから白7と飛びました。
これは何かというと、白Aのツケコシで黒△を分断する手を作っているのです。
黒の形を弱くする事で、間接的に白△を補強しています。





5図(実戦)
その後の白1、3も鋭い抉りです。
黒の足元をすくいながら、自分の根拠を確保しています。
黒4も白の薄みを狙ってこの一手に見えますが、結果的には空振りにさせられてしまいます。





6図(実戦)
何はともあれ、上辺が大場です。
白7までとなって、白△が役に立っている事がご理解頂けるでしょう。
黒は地合いで遅れないよう、黒8と稼ぎに行きましたが・・・。





7図(実戦)
白7までとなり、黒△が浮き上がりました。
これらの石は、お荷物以外の何物でもありません。





8図(実戦)
黒1はこの一手で、先手で白1と閉じ込められてはいけません。
しかし白2から、今後は左上の黒が攻められる事になりました。
2つのお荷物を抱えては、自由に打つ事はできません。
自然と白地が増え、碁も白勝ちになりました。

私が著書でお伝えしているように、碁は石の強弱が最も大事です。
自分の石は強く、相手の石は弱くする事ができれば理想的ですが、相手もいるのでそう簡単な事ではありません。
しかし、Masterは自然とそんな展開に持ち込んでしまいます。
中盤以降Masterの地ばかり増える碁が多く見られますが、そこに原因があるのです。
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