白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第51局

2017年07月22日 21時59分15秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日はMasterと周俊勲九段の対局をご紹介します。
周九段は、台湾のプロ組織所属の棋士としては唯一の世界チャンピオン経験者です。



1図(テーマ図)
周九段の黒番です。
黒11までの異様な進行・・・これは明らかにマネ碁です。
マネ碁については、以前も触れましたね。
黒番のマネ碁としては、有名な1局があります。





2図(実戦)
呉清源三段木谷実四段に黒番で挑んだ1局です(段位は当時)。
来日間もない呉三段も木谷四段の力量は知っていて、どうやって勝つかを考えた結果マネ碁を採用したそうです。
これはコミ無しの碁であり、真似をし続ければ天元の石の分だけ黒が有利という訳ですね。

マネ碁は卑怯な戦法とみられており、対局中にも批判の声は多かったようです。
そのためかどうかは分かりませんが、呉三段が途中でマネ碁をやめ、結果は木谷四段の白番3目勝ちとなりました。





3図(実戦)
さて、実戦に戻りましょう。
同じマネ碁とはいえ、本局は黒がコミ6目半を出さなければならないので、黒△の石にそれ以上の価値が無ければ勝てません。

しかし、白1、黒2となった場面を見てみましょう。
黒△の石は地や模様を作る役に立っておらず、戦いに参加しそうもありません。
白が展開を巧妙にコントロールし、黒△の価値を下げて優位を確立しています。
この後白Aの利かしに対し、マネ碁を止めて黒Bと反撃したのは、無理を承知の勝負手ですが・・・。





4図(実戦)
結果は黒がばらばらになり、かえって差が開くことになりました。

51局目ともなると、Masterの強さは分かっており、本局は実験のために打たれたと考えられます。
恐らく、周九段は白番でマネ碁をする予定だったのではないかと思います。
結果は黒番になりましたが、それはそれで面白いと思ってマネ碁に踏み切ったのではないでしょうか(笑)。

コミのある碁での黒番マネ碁が不利であることは、全棋士が認識しています。
勝てないのは分かっていて、Masterがどう対応して来るかを見たかったのでしょうね。
見せたかった、と言っても良いかもしれません。
本局は対AIならでは対局でした。
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