白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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19歳の名人

2019年10月08日 23時33分50秒 | 囲碁界ニュース等

<本日の一言>
台風19号が日本列島を直撃するおそれがあるとか・・・。
災害続きだったので、今回は遠慮してもらいたいものです。



皆様こんばんは。
本日は名人戦第5局の2日目が行われました。
結果は皆様ご存知の通りです。

今回、外野の私としては複雑でした。
最終局まで見たい気持ちもあり、歴史的な記録を目にしたい気持ちもあり・・・。
いずれにしても、両者は素晴らしい戦いを見せてくれましたね。

それでは、早速振り返っていきましょう。

1図(封じ手)
封じ手は白△でした!
今回のシリーズ、私の封じ手予想は4勝1敗でした。
不思議なこともあるものです(笑)。



2図(実戦)
しかし、白1という手の付け方は予想外でした。
多くの棋士が選ぶのは白Aのはずで、そちらは感覚で打てる手です。
実戦は深い読みが必要な打ち方で、いかにも芝野虎丸挑戦者らしいと思いました。



3図(実戦)
このあたりまで、流石の攻防だと思いました。
細かい碁に見えます。



4図(実戦)
しかし、ここで白△のハネとは!
普通なら白Aの伸びですが、もう一歩踏み込みました。
その一歩が、トッププロ同士の戦いでは大変な差になります。
形勢不明と思われた碁ですが、どうやらこれで白が抜け出した雰囲気です。



5図(実戦)
黒1は張栩名人の必死の勝負手ですが、白2とコウを仕掛けては白の勝ちが決まったようです。
黒1では黒Aとつないでいれば長期戦でしたが、これまでの芝野挑戦者の打ちぶりからして、寄せ勝負では逆転する自信が持てなかったのでしょう。
相手にそう思わせるのも力です。


これでシリーズは芝野挑戦者の4勝1敗となり、ついに名人位を奪取しました。
かつて、坂田栄男名人に「20代の名人はあり得ない」と言われながらも、林海峰挑戦者が23歳で名人位を奪取したのが1965年でした。
坂田名人の発言は自分を奮い立たせる意味もあったと思いますが・・・。
まさか、10代の名人が誕生する時代がくるとは夢にも思わなかったでしょうね。

名人位を獲得したことで、芝野新名人は井山四冠に次いで序列2位となります。
世界戦に出場する機会は、これまで以上に増えることでしょう。
新たな挑戦の始まりです。



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