白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ほぼ毎日更新していました。
著書「やさしく語る」シリーズ4作発売中です。

Master対棋士 第46局

2017年07月04日 21時32分05秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
引っ越し後、早速五反田の教室との往復用に自転車を買いましたが、駐輪場が一杯でした・・・。
都心はこれだから困りますね。

本日は幽玄の間でのナショナルチームの強化対局に、何と井山六冠が登場しました!
読み比べになりましたが、井山六冠にミスが出たのか、DeepZenGoの中押し勝ちになりました。
DeepZenGoは部分戦が強いのか弱いのか、よく分かりませんね。

さて、本日はMasterの棋譜をご紹介します。
対局相手は連笑七段(中国)です。



1図(テーマ図)
Masterが白1、3と二段バネした場面です。
従来は、このような状況では白Aの滑りを選ぶ棋士が圧倒的に多かったのです。
しかし、Masterは全60局中で、隅への滑りを1回も採用していません。

その理由は、相手に様々な選択肢を与えるからではないかと思っています。
左下で言えば、白Bと受けるとは限らず、白Cと挟んだり、白Dなどで上から圧迫する可能性もあります。
これらを状況次第で自由に選ばれるのは、不利とみているのではないでしょうか。





2図(実戦)
黒1、3と反撃すれば、黒9までの進行は一本道です。
この分かれは石が外回りになって黒有利、というのが一般的な棋士の感覚です。

ただ、ここで白10が黒の勢力を牽制しながら白2子の動き出しを狙う、絶好の開きになっています。
もし次に黒Aなどと備えてくれれば、白Bと大場に先行する予定でしょう。
部分の良し悪しよりも、全体的な石の効率を重視した判断と考えられます。





3図(実戦)
黒は素直に守るのはつらいので、黒1~7と左上を目一杯に広げて行きました。
しかし、そこで白8の動き出し!
Masterはこれで白有利に戦えるとみているのです。
これも一種の壁攻めの発想ですね。





4図(実戦)
戦いの中で、白1、3はちょっと気が付き難い打ち方です。
黒Aの当てや黒Bのノゾキを狙われるので、打った瞬間は形が悪く見えるからです。
後の進行を考えれば良い手だと分かるのですが、実際には最初の段階で候補手から外れやすい手です。

人間の能力には限界があり、虱潰しに全ての可能性を追うことはできません。
そこで、経験を基づく勘を利用して判断するのです。
これは囲碁に限らず、多くの分野でも言えることではないでしょうか。

しかし、それは現在の囲碁AIには当てはまりません。
人間には見付け難い手でも難なく打ててしまうのです。

Masterに比べるとDeepZenGoは、形を重視し過ぎるのかもしれません。
あくまで私の印象ですが、形が良い手の評価が低い場面でミスが出やすい気がします。
このあたりが、DeepZenGo攻略のポイントになるでしょうか?
もっとも、攻略よりも棋士の棋力向上が本来の目的なのですが・・・(笑)。
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