白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ほぼ毎日更新していました。
著書「やさしく語る」シリーズ4作発売中です。

13路盤プロアマ本戦その4

2016年07月10日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は昨日行われた第1回13路盤プロアマトーナメントの対局の模様をお伝えします。
1回戦最後の2局と勝者による2回戦が行われましたが、図が膨大になってしまったので本日は1局のみとなります。



1回戦、村松竜一八段(黒)対鈴木歩七段戦です。
対局者は共にファン投票で選出された人気棋士です。

局面は黒△と詰めて右下白に圧力をかけた所です。
ここまでゆっくりした展開でしたが、分岐点に来ました。





白1と隅の根拠を確保するのは無難な手ですが、黒2、4とハネツギに回られてしまいます。
黒Aのハサミツケを見て非常に大きな手です。
黒△が取られそうなのが気になるでしょうが、右下白1と打った事でこの石は「軽く」なっています。
なお、軽さと重さの概念については以前の記事で解説しています。





黒石が軽くなる前に白1と仕掛けました。
白Aを省略してBと取れれば丸々1手違いますから、黒は助けない訳にはいきません。





黒1と助けて「重く」なった所で白2、4と仕掛けました。
右下の2子を取り込む狙いです。





黒1以下攻め合いの格好になりました。
ここで黒△を取りに行きたくなりますが・・・。





右下2子を取りに行けば1手勝ちですが、黒2以下が利いて白地は案外増えていません。
黒8の打ち込みに回られては遅れてしまいます。
黒△は用済みなので「軽い」石、白Aと切っても黒Bと捨てられてしまいます。






そこでいきなり白1と切って行きました。
2子をポン抜く事が出来れば白△を省略する事が出来ます。





そこで実戦は黒1と逃げて行きました。
しかし白6までと進行して・・・。





続けて黒1以下逃げようとしても攻め合い負けです。
助からない石を何故逃げたのでしょうか?





黒1から突き出して行くのが狙いでした。
上辺の白地を無くしながら白2子を取り込んでいます。
いわゆる「2子にして捨てよ」の系統の手筋で、黒1、3の利きを作るための捨石でした。
この手筋は以前作った問題にも出て来ましたね。





4子にして捨てた効果は上辺だけに止まりません。
黒4が鋭い踏み込みです。





黒のツケに対して、うっかり白1と取りに行くと4子が復活してしまいます。





そこで実戦は白1と引きましたが、黒Aを残して大きくヨセる事が出来ました。
その上黒4子の周辺にはまだ利きが残っており、今後も白を悩ませます。
最後は黒番村松八段の1目半勝ちでした。

碁は効率のゲームですから、時には石を取らせた方が良い事もあります。
捨石の楽しさを知ると碁はますます面白くなりますよ。

明日はもう1局の1回戦と2回戦の模様をお伝えする予定です。
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