白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第43局

2017年06月05日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
本日はMasterと姜東潤九段(韓国)の対局をご紹介します。
姜九段は富士通杯やLG杯などでの世界戦優勝経験がある棋士です。



1図(実戦)
Masterの黒番です。
白△のカカリに対して、一番人気は恐らく黒Aでしょう。
この黒1、3という打ち方は、この配石ではほとんど打たれたことが無さそうです。

棋士には気付きにくい手ですが、打たれてみれば全く違和感はありません。
何故今まで打たれなかったのでしょうか?
コロンブスの卵ですね。





2図(変化図)
この後は1の開きが自然です。
白△と白1の組み合わせは二立三析と呼ばれる好形です。
それ故、1図は単独ではあまり良くない打ち方ですが、本図黒2とカケる構想とセットになっていると考えられます。
白9までの結果は、白の左右の強い石同士がつながる、効率の悪い形になっています。
一目黒がやれそうに感じます。

このように黒2のカケを利用して白を効率の悪い形にさせる打ち方は、大昔からありました。
ですから、この打ち方は既に誰かが試みていても全くおかしくないのですが、不思議ですね。

この打ち方には難しい技術はさほど必要なく、アマの皆さんが真似しても全く問題なさそうです。
もちろん、意図を正しく理解している前提ですが・・・。





3図(実戦)
前図のような進行は瞬時に見えますから、姜九段は白1と反発しました。
Masterも上辺の手抜きを咎めて黒2、4と迫ります。
この後白Aと押すのは、いかにも鈍重な動きで苦しそうなので・・・。





4図(実戦)
白1、3から反撃して、激しい部分戦が始まりました。
この変化は初めてであろう姜九段には、少々厳しい状況です。
一方のMasterは、例えこれが初めてであっても、膨大な想定図をシミュレートできますから・・・。





5図(実戦)
戦いの結果は、黒1までの振り替わりになりました。
黒は白△を、白は黒〇を取る分かれです。
ぱっと見た印象では、形勢は大きく離れていないと感じました。

ただ、白の2目ポン抜きの厚みは強力ですが、白✖に余分な石がくっついているところが不満点です。
さらに、黒はこの厚みを働かせないよう、巧妙に局面をコントロールして行くのです。
この後の進行を追うと、黒は右辺に極力近付かず、白が厚みを囲うしかないように持って行っていることが分かります。

厚みの価値の評価というのは、碁で最も難しい分野です。
つまり、最も実力差の表れる部分であり、歴史に名を残すような名手は皆その能力に長けていました。
Masterのそれは、彼らをも遥かに上回るようです。
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