白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第21局

2017年02月22日 23時59分59秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
第18回農心杯は、朴廷桓九段が范蘊若五段に敗れて韓国も全滅、中国の優勝が決まりました。
近年の中国勢の層の厚さを象徴するような結果でしたね。

また、本日もおかげ杯の予選が行われました。
おかげ杯の予選では、所属の違う棋士同士はネット対局となります。
ぜひ幽玄の間で棋譜をご覧ください。
対局者には励みになるでしょう。

さて、本日はMasterと陳耀燁九段(中国)の対局をご紹介します。
陳九段は1989年生まれの27歳、世界戦で2度の優勝を誇っています。



1図(実戦)
陳九段の黒番です。
白1と一本カカリを妨害し、黒2の挟みを待ってから白3と受けました。
この手順から、Masterは締まりを重視している事、黒Aのカケを嫌っている事が読み取れます。





2図(実戦)
長い手順ですが、ご容赦ください(黒15はA、白22はB)。
部分部分の手順は、どうという事はありません。
重要なのは右上、右下、左下共に、最後に黒が打って終わっているという点です。
常に先手を取って他へ向かおうとする、Masterの特徴が表れています。




3図(実戦)
黒1に対していきなり白2とコスミツケる打ち方は、黒を固めて良くないとされて来ました。
しかし、何年か前にプロが打ち出し、一時期流行しました。

この局面では白△の強い石が睨みを利かせており、上辺に大きな黒模様ができる可能性はありません。
上辺の黒石を固めてしまっても罪は軽く、その間に手薄な左上隅や左辺を守る事を重視したのでしょう。
これも大局観に基づく判断です。





4図(実戦)
黒1に対して、白Aと切ればコウ争いが始まります。
ここで白2と、妙な所に打った手に注目しましょう。
これはコウ立て作りです。





5図(変化図1)
黒1と受けさせれば、白2と切った時のコウ立てができます。
白4に続いてAと抜けば黒をすっきり取る事ができ、黒BやCも心配する必要が無くなります。





6図(変化図2)
コウ立てとして白3を使おうとするのは良くありません。
迷わず黒4と解消されてしまいます。
白5と連打しても黒6と打つ手があり、白Aと取ってもコウです。
前図とは雲泥の差があります。

コウ争いでの判断力は、前身のアルファ碁とMasterの最大の違いだと思います。
アルファ碁のみならず、AIの大きな弱点でしたが、Masterは明らかに克服しています。
部分戦に持ち込んでミスを期待する事は難しくなりました。

本局は様々な面で、Masterの特徴が表れた1局だったと思います。
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