白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

新刊、発売!&例のツケ

2017年08月28日 23時22分51秒 | 著書
皆様こんばんは。
この度、新刊「やさしく語る 布石の原則」が発売されました!
早速多くの方にご購入頂けているようです。
ありがとうございます。
当ブログでは読者コーナーでご感想・ご質問や誤植等の情報を募集しておりますので、そちらもよろしくお願いいたします。
実は、早速メールで誤植の情報が寄せられました。



67ページの問題はこれが正しい図なのですが、本では赤印の白石が消えてしまっています。
68ページ1図、2図も同様です。
配置としては違和感が無く、これは私も見落としていました。
申し訳ありません。
このような情報は随時読者コーナーに反映させて行きますので、引き続き情報提供をよろしくお願いいたします。


さて、今回は幽玄の間で中継された、柯潔九段と朴廷桓九段の対局に注目してみます。
中国ナンバーワンと韓国ナンバーワンの、頂上決戦のような1局でしたね。



1図(テーマ図)
柯潔九段の黒番です。
黒△と引いた場面です。
私は似たような局面で白Aとつなぎ、黒B、白C、黒D、白Eと進みました。
多少位置をずらす手は色々とありますが、流れとしてはごく一般的なものです。
それで白に不満が無いと見る棋士がいる一方、「いや、開いたところをまた白Eなどと守らされるのは不満だ」と考える棋士もいます。
朴九段もそのタイプなのか、実戦は・・・。





2図(実戦)
白1のMaster(AlphaGo)流!
既に実戦例もかなり多いですが、何度見てもこの手には驚きます。
白の狙いとしては、この後・・・。





3図(実戦)
大体このような図を目指していると考えられます。
黒Aの厳しさを緩和し、右辺一帯を効率の良い構えにする狙いです。
その分右上の黒も固まっており、損得は微妙なところですが、どちらかと言えば白を持ちたい棋士が多いかもしれません。





4図(実戦)
そこで実戦は、黒7の打ち込みを急ぐためにこのような進行に・・・。
何となく白がやれそうに見えますが、良い勝負なのでしょうね。
ツケの後ここまでは自然に予想できそうな変化で、双方の研究範囲内でしょう。
世界トップの両者の碁だけあって(?)、この後は訳の分からない展開になって行きました。


AIの台頭により、流行の布石は大きく変わって行きます。
色々と試してみるのも面白いでしょうが、流されてしまうと自分の碁を見失う恐れがあります。
上手く距離感を取って向き合いたいものですね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 書評・第8回 ひと目の詰碁 | トップ | 明日は指導碁&Master対棋士... »

著書」カテゴリの最新記事