白石勇一の囲碁日記

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溝上知親九段-杉内寿子八段戦

2019年01月12日 17時14分36秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
本日は永代塾囲碁サロンにて講座と指導碁を行いました。
お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
指導碁を打っていて楽しいことの1つは、お客様が上達を感じる打ち回しを見せてくれることです。
今回もそんな場面がありました。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は溝上知親九段(41)と杉内寿子八段(91)の対局をご紹介したいと思います。
溝上九段と言えばNHK杯の常連で、三大棋戦のリーグ戦には何度も入っています。
杉内八段が強いことは知っていましたが、そんな棋士にまで勝ってしまうとは・・・。

最近、仲邑菫さんが最年少棋士になることが決まりましたが、ぜひ杉内八段と記念対局を行って欲しいですね。
歴史に残る対局になりますし、菫さんにとっても素晴らしい経験になるでしょう。
もちろん、公式戦で対局できる可能性もゼロではありませんが、2人の所属が違うのでかなり難しいです。

さて、それでは対局を見ていきましょう。
なお、棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間にてご覧頂けます。



1図(実戦)
溝上九段の黒番です。
杉内八段が白1とツケていきましたが、この石の張った打ち回しに敬服しました。
これは、単に左辺を白地にしたいという打ち方ではありません。
白△の存在を生かし、左辺黒に狙いを付けているのです。





2図(実戦)
ですから、黒1に対しては白2と反発しました。
黒3と飛び込まれても戦えるとみています。

もっとも、これは杉内八段としては当然の一手ですね。
もし白2で白3などと受けたら、今後杉内八段の碁を見ることをやめるレベルです(笑)。





3図(実戦)
白△は地味ながら逃せない急所ですね。
こういうところはすぐに見えるのでしょう。





4図(実戦)
白1と黒の急所に迫り、黒2、4を強いて白5と伸びたのは名調子ですね。
これが上辺、左辺、中央の黒を睨む絶好の手になっています。





5図(実戦)
しかし、溝上九段も簡単には勝たせてくれません。
黒1のつなぎから黒7まで、コウを仕掛けたのが勝負手です!
黒がコウに勝てば隅の白が死ぬので、白もかなり怖いことになりました。

途中まで順調に打っていても、こういうところから崩れてしまうベテラン棋士は少なくありません。
私も心配しながら観戦していました。





6図(実戦)
白がコウに勝つ代償に、上辺で黒に生きられてしまいました。
ですが、杉内八段は白△という厳しい手をみていたのです。
これで上辺での損を取り返し、ゴールに近付くことができました。





7図(実戦)
下辺は色々な打ち方が考えられるところですが、白1~5とは目一杯の打ち方ですね。
こういうところで緩まないのは流石です。
この時点で白の勝ちが確定したと言って良いでしょう。
最後は白中押し勝ちとなりました。

本局は91歳の対局ということを抜きにしても素晴らしい内容ではないでしょうか。
皆様もぜひ総譜をご覧ください。
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