白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第27局

2017年03月08日 22時57分40秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
花粉症が酷過ぎて仕事にならないので、空気清浄機を買って五反田の教室に置いてみました。
少しでも効果があると良いのですが・・・。

本日行われた女流名人戦第2局は藤沢里菜挑戦者が勝ち、2連勝で女流名人位奪取となりました。
謝依旻女流名人が序盤で苦しくしてしまったのですが、そこからの頑張りは物凄かったですね。
10連覇がかかっている事もあり、大変な気迫を感じました。
一時は逆転したと思いましたが、そこからの藤沢挑戦者の追撃も見事でした。

これで藤沢新女流名人は、女流本因坊と合わせて2冠となりました。
名実共に、謝依旻女流3冠に追いついた感じですね。
しかし、謝女流3冠も力が落ちた訳ではないので、今後も女流囲碁界は2人を中心に回って行くでしょう。

さて、本日はMasterと范廷鈺九段(中国)の対局をご紹介します。
范九段は皆様ご存知の通り、農心杯に現れた悪魔ですね。



1図(実戦)
Masterの黒番です。
白△は近年打たれ始めた手です(以前は白Aでした)。
この後黒B、白Cを交換してからDとツケ、白Eと出て来れば黒Fと切る・・・そんな過激な打ち方も一時期よく目にしました。
というのは・・・。





2図(実戦)
多くの棋士には、黒5、9と2線を這うのでは黒がつらいという感覚があります。
何しろ、一手につき1目ずつしか黒地が増えません。
ただし、序盤で2線に打っても許される場合があります。
それは根拠を確保、または奪う時です。

そう考えれば、Masterの打ち方の意味はすぐに理解できます。
右辺黒を完全に生きつつ、白の足元をすくって攻めを狙っているのです。
第24局と同じですね。

しかし、実際にはこういった打ち方をする棋士はあまり見かけません。
攻めるといっても、見た目には白はあまり弱いようには見えませんから・・・。





3図(実戦)
しかし、黒5までと進んでみると、上辺の黒模様を盛り上げながら白に迫る形になっています。
不思議な感じですが、黒も打てそうに見えて来ました。

ここで白6は分かり難い一手ですが、大きな意味があります。
直接的には、白Aと放り込んで黒の眼を取るぞと脅しています。
そして、黒がそれを恐れてAと受けてくれれば、黒Bが先手にならなくなるので、白Cからの分断が狙いになります。





4図(実戦)
しかし、Masterは脅しに屈しませんでした。
ただ守るだけの手は打たないという事ですね。
白2(5の所)に放り込んでコウ争いになりました。

結局白4、6と連打されては大損害のように感じますが、黒にも言い分があります。
前図で黒Aと手を入れる図に比べ、黒3に石が増えているので黒Aが利き筋になっています(次に黒Bで白死)。
つまり白Cを狙えないという事で、上辺から中央にかけての黒石が強くなっています。
Masterはこの強さを生かして、全力で戦います。
この後黒△を逃げ出してからの戦いの結果は・・・。





5図(実戦)
黒△まで進み、白△の7子が動けなくなりました。
強引とも思えるほどの力強さです。

石の強弱を正確に判断する事は人間にとって難題ですが、Masterは高い精度で判断しているようです。
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