幸福宮殿メルヘン切符

一枚の物語切符から幸せ行きの力が生まれる大人のセラピー短編童話
  ~希望号発車~

第288話:河童のお皿

2019-01-12 | 2019新作品
「どこ~どこ、どこにいったんだろうなあ?。
 ここ、ない。あそこかな、ない。もしかしたら・・・」
あちこち探し回っているのは、河童のカパキチです。

カパキチは頭のお皿を川で洗っている時、すい~っと飛んできた
いたずらカラスにお皿をさらわれてしまったのです。
「んもう、大変なんだから。その辺に落ちてないかな。もっと
遠くかな」
カパキチは一生懸命草をかき分け枝を払い、お皿を探して歩きました。
すると、森の中に小さな池をみつけたのです。
「やれやれ、ここで頭の水分補給だ」
カパキチは頭を池の中に入れて・・・ズボボボボ。
「ア~~キモチイイヤ」

頭を上げ水が滴り落ちる顔を「ブルブル」と、すると、
そこに蓮の葉っぱがあります。
「これはいいや。しばらくこれでしのごっと」しかし、しょせん
葉っぱです。すぐに乾いてしおくれてしまいました。
(またいこっと)
カパキチはまたあの池に行きました。
「葉っぱいただきますよ。でも、後一枚しかないなあ。それまでに
 僕のお皿見つけないとな」
でも、なかなか見つかりません。
というより、蓮の葉っぱがでしのげたので、探そうとしなかった
のです。
そして、また池に行きました。
(どうしよう・・・この一枚をもらったらなくなっちゃうな?
 デモデモ僕だって・・・)
結局カパキチは最後の一枚を取ると、かえって行きました。


池にはもう葉っぱはありませんが、もしかしたら
あるかもしれないという想いで、また池に行くのでした。
(あるといいけどな、あるかなあ・・・)
池に来るとあちこちくるくる探してみましたが、葉っぱは
見つかりません。あっちだったかなあ~もう少し向こうかな。
そして、あの蓮の花のあった場所に来ました。
探しつかれたカパキチは池の淵にどっかと腰を下ろしました。
目を池にやったカパキチ、「あれ!なんてこった・・・」
目の先には、あの蓮のつぼみが水面に浮かんで、波間にゆらゆら揺られて
いたのです。
葉っぱをすべて取られた蓮のつぼみは、成長することが出来なかった
のでした。(ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ)
急に切なさがこみ上げたかぱきち、「うう、うえ~んうわあー」
辛さに涙をぽろぽろ流して泣きまくりました。
カパキチの流した涙が、するするす~いっと池に流れていきます。
しばらくすると、池の水面にぽこんと浮かんだものがありました。
「あれ、何だ?」
カパキチは目を集中させて、そばに行きます。
「あ!僕のお皿だ!!やったあ」
そのお皿は、数日前に、カラスが池の魚を取ろうとして
くちばしを開けたときにポロっと、落としてしまったカパキチのお皿
だったのです。

カパキチは手にしたお皿をポコンと頭に乗せると、
池の淵でじいっと水面にぷかぷか浮かぶ、
咲くことのない蓮のつぼみを見ていました。
しばらく立ち尽くすとパカキチは顔の涙をぬぐい、
重い足取りで小さな池を後にしました。

                       おわり。



(あとがき)

やっと一話書き上げました。
ほんとうに、久しぶりですね。
創作の感を取り戻すのに、時間がかかりました。

童話を書き始めた頃は、自分の想いをただ言葉に
していくだけでしたから、簡単に書けていけました。
「童話を書きたい」・・・この欲だけが力でしたが、
少しずつ創作の知識を知ることで、かえってこれが
書きたいペンを止めるような気がします。

ここはおかしくないか、起承転結は、描写はうまいか、
考えているうちにめんどくさくなってくるんですね。
もともと才能のない人間が創作してるわけですから、
落ち度のない作品など書けるわけないのです。
ちなみに、過去作品の多くは、支離滅裂な部分があり、
とても公開できるようなものではないので、公開していません。
例えば、「熊のお薬屋さん」の作品の中で、
のぼり旗と書くところを、のぼりと表現していました。
たまたまテレビを観ていて気がついたんですが、万事、
こんな感じですからね。<作品は修正しました>

でも、創作することは、楽しいし、自分の物語に感動も出来ますし、
なんといっても達成感があります。
へたな物語でも、自分が感動できるのは、自分の想いが言葉で
表現されるからでしょうし、物語の風景が自分の中に広がって
くるからだと思います。
ここにおいては、作品の良し悪しはまったく関係ないからですね。
本当に趣味として創作を楽しむには、むしろ知識がない方が
書きやすいかもしれません。

創作のアイデアをそのまま頭の中で物語化して、文章化していく
その工程の中にこそ、本当の自分の思いが表現された作品が
生まれるのではないだろうかと、思う昨今です。
それこそが、趣味としての創作の醍醐味だろう・・・と。

今年も自分なりに楽しく創作をしていこうと思います。

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