7つの短編で構成されている、本書の「真昼の花火」を昨日電車で読んでいましたが、本当にやばかった~涙がこぼれそうでした。
著者の瀧森古都さんのプロフィール、「現在、主に『感動』をテーマに小説や童話を執筆」に惹かれて読んでみました。井戸書店の理念の「我々は感動伝達人である」にピッタリはまるのではと思い読み進めました。いずれも家族の関係や、家族とペットのそれを中心に書かれています。1月10日に投稿した『私のすべてを私が許可する“眠りのセラピー”』(七海文重著、CLOVER出版、本体価格1,500円、税込価格1,650円)の内容、子どもの頃の潜在意識の話とリンクします。家族の思いのすれ違いの存在が関係を悪化させるも、あるきっかけでものの見事にその原因が見出され、そして、お互いの本当の思いに気付き、ストーリーのエンディングに突入していきます。
「真昼の花火」では、不登校の中学3年生の息子に対し、母は高圧的な態度をとることもなく、彼を信じてただただ見守っていました。帰宅途上の公園で拾った線香花火を家の庭で真昼に着火したところ、彼女が5歳の時に亡くなった10歳上の姉が浴衣姿で霊として登場し、浴衣や花火の思い出を語り合い、妹の今の課題を思いやり、息子の担任の先生や息子に対して「思ったままに話せば」と告げます。息子の夢の中にも浴衣を着たその叔母は登場していたので、母親の線香花火の現場を見て不思議に感じていました。担任の先生から電話がかかってきて・・・。
その次の物語「おしるこ」ではこんな言葉が綴られます。「誰かと気持ちが一つになる瞬間、それを『幸せ』と呼ぶのではないだろうか」からすると、相互に思いをぶつけることが良いのではないでしょうか。家族ならばこそ、言いたいことも言えない、言うと共に生活しづらくなることを先に考えてしまいます。ケースバイケースでしょうが、思いを伝える、それも「いまここ」かも知れません。
『あのとき僕が泣いたのは、悲しかったからじゃない』(瀧森古都著、誠文堂新光社、本体価格1,200円、税込価格1,320円)