高校3年生の文化祭でオオルリをかたどった空き缶タペストリーを作った同級生たちが卒業後28年を経て、元国立天文台出身で仲間の一人の山際彗子が自分の天文台を持つ夢実現に協力すべく集合します。それぞれが独自の道を歩みながらも、誰しも大なり小なりのミドルエイジクライシスを抱きつつも、高校時代の夏の思い出の再現に立ち向かいます。しかし、空き缶タペストリーの企画提案者で運営の中心人物の槙恵介は卒業後1年目に謎の自殺、梅野和也は仕事でうつになり、その場にはいません。
天文台の建設現場はオオルリがやってくる山の上。「人間は誰しも、一つの星を見つめて歩いている」が、その星を見失うこともあるし、再度違う星を探すこともあります。しかし、星を探すことを忘れてはならないし、「手の届くことから始める」ことが必須です。中年の彼らは天文台を作る過程で自分を見つめ直し、新たな一歩を踏み出すはずです。
伊与原 新さんの今回の作品は、天文学をメインにオオルリの生態などを絡めた物語です。
『オオルリ流星群』(伊与原 新著、KADOKAWA、本体価格1,600円、税込価格1,760円)