森政弘著『退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察』を初めて読んだのが7年前(その時のブログは↓)。何度か目を通していますが、いつも刺激を受けています。その森政弘先生から教えを受けた人たちが森先生の教えをまとめたのが本書です。創造性開発のヒントが満載です。
https://blog.goo.ne.jp/idomori28/s/%E6%A3%AE%E6%94%BF%E5%BC%98
明確に述べられているのは、仏教の要諦とされている、柔軟性を持って「固定観念にとらわれない」「こだわらない」「執着しない」ことを習慣化することです。そのためには、「自分の持っているイメージをいったん無にして(自己否定)ありのまま見る」、あるいは、「異なったものの中から相似性、共通項を探し出す」ことを行うことを推奨しています。
また、頭の意識で物事を考えてもロクなことを思いつかない傾向にあるので、森先生の創造のプロセスである「念・忘・解」での、「忘」の状況になれるように物事に没頭する三昧(ざんまい)に身を置きなさいと述べています。「忘れることによって、考えていた事柄が無意識の領域に沁みこんで熟成され」、無意識が働くと、全機~意識と無意識の自身の持てる天賦の機能を100%発揮することができます。
人は惰性に流されやすいので、「常に原点、根本に立ち返る」ことも忘れないようにすることも明記しています。いずれにしても、「随所に主と作(な)れば、立つ処(ところ)皆真なり」(義玄禅師)の言葉通り、主体性をもって取り組む仕組みを構築しなければなりません。
これからの時代、創造力の有無が結果を決めます。その開発の参考にしていただきたい。
『もの作りは者づくり ロボット博士の伝授録』(森政弘研究会著、佼成出版社、本体価格2,000円、税込2,200円)