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デジタルは人間を奪うのか

2014-11-04 15:43:39 | 

 著者の小川和也氏はデジタルマーケティングディレクターとして、日本の実業界にデジタル環境の改善のために尽力をした人。その彼が

 「デジタルの進展で人類に大きな進歩を招いたが、何かしら不気味さがある」

と語る。モノがネットとつながり、ロボットに仕事を奪われる可能性が発生し、仮想と現実の境界線が分からなくなり、脳と肉体にデジタルが融合する将来には、人間が人間足り得ていないと危惧されています。

 「たとえデジタルの船の中であっても、この船がどんどん先に進もうとも、人間が考える葦であり続けさえすれば、人間が持つ可能性はむしろもっと大きなものとなる」

 もう下船できないデジタルの船には必ず利便性という光と、人をデジタルが支配するという影があることを認識し、そのデジタルを生みだしたのもあくまでもわれわれの思考、創造の力を思い続けなければなりません。著者が新聞の購読をやめないのも、アナログで考える習慣を一度失うと、人間からも下船しなければならないことを理解しているからでしょう。

『デジタルは人間を奪うのか』(小川和也著、講談社現代新書、本体価格740円)

コメント (2)
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