禅の本を読み進めていますが、今までで一番理解しやすい本に出会えました。京都・妙心寺退蔵院副住職の松山大耕氏の『大事なことから忘れなさい』です。松山氏は妙心寺生まれで、東京大学出身。禅を海外に発信し、外国人への禅指導は自ら英語で行い、政府観光庁「Visit Japan 大使」、 京都市「京都観光おもてなし大使」に任命され、海外での講演もされています。
本書では禅の真髄を誠に簡単に書かれています。まず、禅とは、その漢字を分解すると、
「単」を示す
となり、シンプルを目指す教えであり、その特徴を3つに集約されています。それは
①とらわれない、まっさらな澄み切ったこころ
②不要なものを極限にまで削ぎ落とし、あるべき本来の姿に向かう
③言葉よりも実践を重んじる
です。
例えば、本書の書名の「大事なことから忘れなさい」ということは、一流になるには、大事なことは「型」を習得することが必要ですが、型にこだわると「型」に執着し、自らのオリジナルが発揮できなくなります。「型」を一つ一つ集中し、量をこなし、「型」を意識せずとも実践できるようになると、一流の域に達するのです。「守破離」に通じますね。
過剰に商品や情報が氾濫し、そして、欲望を煽る現在、やはり、禅(ZEN)に人気が上がるのは頷けます。
『大事なことから忘れなさい 迷える心に効く三十の「禅の教え」』(松山大耕著、世界文化社、本体価格1,300円)