毎年刊行されている
出版状況クロニクル2 2009年4月~2010年3月
を読了。出版業界の記事を丹念に拾いながら、1年間に起きた業界の大きな流れを論説してくれて、業界人としては非常に興味深い。
この1年は、雑誌の凋落と危機、そしてDNPを中心にする再編の激流がメインの出来事でした。日本の出版流通は雑誌をメインにして発展してきたので、サブプライム後の広告の激減と雑誌販売の激減に対応が付かない状況です。書店だけでなく、コンビニも同様。
書籍も新刊発行点数だけは毎年上昇していますが、販売金額は減る一方。毎年在庫は膨れ上がり、返品→断裁の運命を辿る本が多いはず。
そこで、発行1年後の本を再版から外し、書店粗利を35~40%にして、価格も書店で付ける時限再販本市場の創設を提案しています。書店はベストセラーや話題本ばかりを追いかけることなく、自店のカラーを出した棚づくりができるわけです。書店の個性化も促進されるでしょうし、出版点数が減る方向に向き、出版社も博打のような出版スタイルから、じっくり良い物を作り、ロングランで売っていく。
出版界すべてが自社の強みを活かす、なんて良いことだろうか。生物多様性と同じように書店多様性が生まれ、業界も活性化すると思います。