猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

国連安保理、対北朝鮮非難決議を採択

2006-07-17 08:27:13 | 朝鮮半島
 国連安保理は、15日午後(日本時間16日午前)に、北朝鮮のミサイル発射を非難し、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の中止とミサイル発射凍結の再確認、核開発放棄などを求める決議案(安保理決議1695号)を全会一致で採択した。日米が当初主張していた国連憲章7章に基づく制裁決議ではないが、英仏が提案した妥協の文言「安保理は国際の平和と安全を維持する特別の責任のもとに行動する」というのが入ったので、意味のあるものとなった。また「この問題を引き続き注視すると決定する」との文言も重要である。
 北朝鮮に対して「次回は制裁だ」ということを国際社会が一致して表明することができた。同日未明の麻生太郎外相とライス米国務長官の電話会談では、憲章七条に基づかなくとも決議が拘束力を持つとの認識で一致している。外務省幹部によれば、決議に盛り込まれた北朝鮮へのミサイル関連部品の移転阻止などの措置は「国連加盟各国に実施を義務付けたものと理解するのが適切だ」ということである。また、米国のボルトン国連大使は「北朝鮮が決議の要求内容を履行しない場合、さらなる行動のため、安保理に戻ることが重要」と述べている。
 私は、今回の日本政府の対応を極めて高く評価する。安倍官房長官が「日本が降りる(=こぶしを下ろす)にしても、最後に降りなければならない」と外務省に強く主張して、実際その通りになった。米国のハドリー大統領補佐官が安倍官房長官に電話で語った「日本外交の偉大な成果であり勝利だ。日本の努力が実って、ここまで達成することができた」という言葉がまさにぴったり当てはまるといえよう。何といっても、日本主導の安保理決議案が採択されたのは初めてなのだ。パーフェクトゲームに近いと思う。もちろん、安保理決議が即北朝鮮の行動を改めさせるなどという夢想はこれっぽっちも持っているわけではないし、決議自体が目的でないことはいうまでもないが、決議はないよりはあったほうがよい。経済制裁は、日米欧で連携してやればよいことである。


【安保理決議1695号】
 安保理は1993年5月11日の決議825と2004年4月28日の決議1540を再確認する。
 朝鮮半島と北東アジア全体の平和と安定を維持する重要性に留意する。
 核、化学、生物兵器とその運搬手段の拡散は国際の平和と安全に対する脅威であることを再確認する。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射について、核、化学、生物弾頭の運搬手段として使われるシステムとなりうる可能性に鑑み、重大な懸念を表明する。
 北朝鮮がミサイル発射凍結の公約を破ったことに深い憂慮を表明する。
 北朝鮮が適切な事前通告を怠り、民間の航空や海運を危険に晒したことについて、一層の懸念を表明する。
 北朝鮮が近い将来、さらに弾道ミサイルを発射する兆候があることに重大な懸念を表明する。
 こうした状況の平和的、外交的な解決への希求を表明し、対話を通じた平和的活包括的な解決を促進する安保理理事国と国連加盟国の努力を歓迎する。
 北朝鮮が1998年8月31日、地域の諸国に対する事前通告なしにミサイル推進による物体を発射し、それが日本近海に落下したことを想起する。
 北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明したこと、NPTと国際原子力機関(IAEA)の保障措置の義務に反して核兵器を追求すると表明していることに強い遺憾の意を示す。
 中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国による2005年9月19日の共同声明の履行の重要性を協調する。
 北朝鮮が核兵器を開発したと主張していることに照らせば、特に今回の発射は、地域とその周辺の平和、安全、安定を危うくするものであることを確認する。
 国際の平和と安全を維持する特別の責任のもとに以下のように行動する。
1.北朝鮮が現地時間2006年7月5日、複数の弾道ミサイルを発射したことを非難する。
2.北朝鮮が弾道ミサイル計画にかかわるすべての活動を停止し、この関連でミサイル発射凍結という先の公約を再確認するよう要求する。
3.すべての国連加盟国に対し、国内法と国際法に従って、ミサイルと関連品目、物資、商品、技術が北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発のため移転されることを警戒、阻止するよう要求する。
4.すべての国連加盟国に対し、国内法と国際法に従って、ミサイルと関連品目、物資、商品、技術の北朝鮮からの調達と、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に関連した金融資産の移転を警戒、阻止するよう要求する。
5.特に北朝鮮に対し、自制を示して緊張を激化させる行動を控える必要性と、政治的、外交的努力を通じて拡散の問題の解決に取り組み続ける必要性を強調する。
6.北朝鮮に対し、6カ国協議に即時、無条件で復帰すること、2005年9月19日の6カ国協議共同声明の迅速な履行に取り組むこと、その中でも特にすべての核兵器と現存の核計画を放棄すること、さらに早期にNPTに復帰してIAEAの査察を受け入れることを強く促す。
7.6カ国協議を支持し、早期再開を求める。すべての協議参加国に対し、朝鮮半島の非核化を検証可能な形で平和的に達成し、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を維持するため、2005年9月19日の共同声明の完全な履行に向けて努力を加速化するよう強く促す。
8.この問題を引き続き注視すると決定する。



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1 コメント

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うまく行って良かった (PJ)
2006-07-21 11:59:05
北朝鮮の拒否によって、次の段階も話し合われているようですね。

アメリカの態度は相変わらず心配ですけど、これからも政治家主導で頑張っていただきたいです。

北朝鮮の出方として、いちばん心配されるのは細菌テロなんだそうで、これは国民も協力しなければ防げないなぁと思っているところです。

何に注意すればいいのか大々的に広報すれば、北朝鮮に対する抑止力にならないかな~なんて、お気楽過ぎるでしょうかw