猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

対馬の海自一等海曹が海自内部情報持ち出し、上海へ無断渡航も

2006-08-05 21:07:17 | 安全保障・自衛隊
 既に報道などでご承知の方が多いと思うが、海上自衛隊上対馬警備所に所属していた1等海曹が、持ち出し禁止の内部情報をCDにコピーして自宅官舎に保管していたことが発覚した。持ち出した資料の中には、護衛艦が装備している砲弾や銃弾に関する内部資料も含まれている。海自は「業務用参考資料であり、秘・注意文書には該当しない」と説明しているようだが、その説明では情報の取り扱いに関して鈍感のそしりを免れないと思う。だいたい、対馬といえば韓国による「間接侵略」の可能性が指摘されるような要所であり、上対馬警備所は「平成の防人」でなければならない存在である。そういう鋭敏な意識が不可欠である。
 当該1等海曹は、無届けで中国・上海への渡航を繰り返しており、その渡航目的は、日本人向けカラオケ店に勤めていた中国人女性に会うためであったという。このカラオケ店は、在上海日本総領事館員自殺問題に関与した中国人女性が勤めていた店だった。要するに、その店は日本人向けの諜報拠点だったということであろう。そんなところに外務及び防衛当局の人間が無防備に出入りしていたということは、戦慄を禁じえないし、開いた口が塞がらない。たとえば、偽情報を流しにこちらから意図的に出入りしているというのならば、カウンターインテリジェンスであって正常な機能であるが、これまでの我が国の情報に対する認識からして、そんなことは想定できるものではない。
 先日、『セキュリティ政策会議、中央省庁の情報管理状況の調査結果を公表』の中で、中央省庁のサイバーセキュリティの脆弱性について指摘したが、「情報安全保障」といった場合、ハード面だけでなくて人間自体が情報を保護することに対して敏感であらねばならないのは言うまでもない。一日も早く、防諜法が制定されることが望まれる。また、中国などの諜報活動に対抗するためにカウンターインテリジェンスの機能を高める組織作りをしなければならない。『孫子』に「上兵は謀を伐つ」とある通りである。



(参考記事1)
[1等海曹が海自内部情報持ち出す、上海に無断渡航も]
 海上自衛隊上対馬警備所の1等海曹(45)が、無届けで中国・上海への渡航を繰り返したうえ、持ち出し禁止の内部情報をCDにコピーして自宅官舎に保管していたことが1日、明らかになった。
 上海への渡航目的は、日本人向けカラオケ店に勤めていた中国人女性に会うためで、このカラオケ店は、在上海日本総領事館員自殺問題で登場した中国人女性が勤めていた店だった。1等海曹は海自の調査に中国側への情報提供を否定しているが、警察当局は情報漏えいの可能性もあると見て、1等海曹と女性の交際の実態などについて捜査を進めている。
 1等海曹は2004年4月から、長崎県対馬市の上対馬警備所で海上を航行する船舶の監視員を務めていたが、先月、停職10日の懲戒処分を受け、現在は同県佐世保市にある佐世保地方総監部の管理部付となっている。
(読売新聞) - 8月2日3時7分更新

(参考記事2)
[護衛艦弾薬資料持ち帰る=中国無断渡航の海曹]
 海上自衛隊の対馬防備隊上対馬警備所(長崎県対馬市)に所属していた1等海曹(45)が内部資料を持ち出したり、無断で中国に渡航したりした問題で、1等海曹が隊舎に護衛艦が装備している砲弾や銃弾に関する内部資料を持ち帰っていたことが5日、分かった。
 海自側は「業務用参考資料であり、秘・注意文書には該当しない」としている。ただ、1等海曹は交際相手の中国人女性と会うため頻繁に中国に無断渡航しており、警察当局は資料の内容に関心を示しているもようだ。 
(時事通信) - 8月5日16時0分更新

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4 コメント

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これって (PJ)
2006-08-06 12:29:13
突き止めたのも自衛隊じゃなくて警察なんでしょうか。

それとも内部告発?

こういうのをどんどん明るみに出してくれれば、防諜法の成立が早くなりそうですね。

情報漏洩は知りたいような知りたくないような複雑な気持ちです。
PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-08-06 23:27:13
>突き止めたのも自衛隊じゃなくて警察なんでしょうか。それとも内部告発?



はて、どっちだろう。上海総領事館職員自殺事件の捜査をしている警察の捜査網に引っかかったのかもしれないですね。

話は少し変わりますが、今回の海自の今までのところの対応のように「身内びいき」ととられかねないものが多く見られるようだと、軍事裁判所の設置に懸念の声が上がることが予想され、大変遺憾なことです。



>こういうのをどんどん明るみに出してくれれば、防諜法の成立が早くなりそうですね。



やはり、膿は徹底して出し尽くさねばならないでしょう。あまりにたくさんの事例が出て来すぎて危機感を抱かせるのを通り越して「ああ、またか」となるのは危惧されますが…。
Unknown (asean)
2006-08-09 11:15:52
猫研究員さん、おはようございます。



日本人は往々にして「良い人」が多いですよね、ですから多分、この1等海曹さんも「良い人」だったのでしょうね・・・



日本人の国際感覚の無さ、ってのは実はそういう所に現れていると思いますね。

相手を理解することと相手を認めることとは違うんだ、ということが理解出来ていない。



(いかなるレベルでも)友好関係を築くってことを相手を無条件に受け入れることだと勘違いしてる方が多い。



無条件に受け入れるなら、相手の全てを保障しなくてはならないことをどうも日本人はご存知じゃない。



先進国の”驕り”と迄は言いませんが、散見出来る限りで言えば、一般的な日本人に”哲学”を感じない。

故に相手の屁理屈に(言葉の問題もありますが)押し切られてしまう傾向が強い

(相手と複雑で高次な概念を必要とする議論が成立しない、ということも実はありますが・・・

そういう意味では対日諜報活動要員として下層階級の人間を割り当てる・・ってのは有効な手段ともなり得るんですが)



脇が甘い・・・っと言えばそれ迄ですが、日本人の善意が必ずしも同じ価値観で扱われる保障等存在しない

ことをどの程度迄理解出来ているのか?は相当に怪しいですね。



そうした社会の中で育った人達が自衛隊という組織の中にいようが、その任地が対馬であろうが

現実としての危機感をどの程度持っているのか?



>あまりにもたくさんの事例が出てきすぎて~



それは感じますね、一見、機密情報等に関係の無いような存在の人達が無意識(善意)でやっていることが

「オイオイ、いいのかなぁ~?」っての結構見てますし、北に拉致された人達はまさしく”普通の”人達だった訳で



人を見たら~式を強調する気はありませんが、日本としての哲学が希薄な為についつい相手に深入りしてしまう癖を

そろそろ修正する必要があるんじゃないでしょうか?



因みに、先の靖国のお話ですが、ASEAN諸国で気にしている国なんて無いですよ。



日本の常任理事国入りに賛成票を入れない云々も、日本が連合を組んだ”インド”に対する拒否反応からが本当ですんで。



新常任理事国が日本だけならまだしもインドもじゃ、内実は伴わなくても事務総長にでもならないと

インドはASEANで何するか分かったもんじゃない、ってな危惧からですんで。
aseanさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-08-11 22:07:47
こんばんは。コメントありがとうございます。

日本人としての哲学のなさといいいますか、国際感覚のなさといいますか、おっしゃることは「その通りだなあ」と思います。他者を「知ること」と「受け入れる」ことを混同する傾向が強すぎます。だから「親中」=「媚中」なんかになりがちなのでしょう。米国の「知日派」は「親日派」とは限らないし、ましてや「媚日」なんてことはないですね。そういえば、日本人の「知中派」とか「知米派」という分類は聞かないですよね。

インドとの距離のとり方は、かなり微妙な舵取りを要求されそうですね。日本にとって、インドとの何らかの協力関係は必要ですし、ASEANとの関係はいうまでもなく不可欠ですから。