猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

18年に厚生年金・共済年金一元化―政府・与党が基本方針案

2006-04-25 23:44:10 | 医療・年金
 単なる記事スクラップエントリーです。政府・与党は、2月に公表された年金一元化に関する政府原案に沿って、官民格差の是正などを目的とする一元化の基本方針案を決定した。追加費用を一部残す結果、厚生共済両年金の負担と給付水準が同じになるのに五十数年かかるなど、官民格差の是正に踏み込みが足りないという批判がある。年金制度の改革には大変に長い経過期間がかかるのが常とはいえ、そのあたり、もう少し改善の余地はあるのではないかと思う。基本方針案の概要は以下の通りである。なお、図は年金一元化に向けてのスケジュールを示している(讀賣新聞4月25日付)。

・2010年以降、共済年金の保険料率の引き上げ幅(現行年0・290%程度)を厚生年金と同じ年0・354%に増やし、厚生年金は17年、公務員共済は18年、私学共済は27年に18・3%に達した段階で固定する。

・公務員OBらの年金の一部に充てられる税金「追加費用」は、最大27%削減し、OBらの受給額を最大1割減らす。ただし、年金が年250万円以下の場合は削減対象から除外する結果、OB約二百十五万人のうち適用は約八十万人にとどまる見通し。年間約1兆7000億円(04年度)に上る追加費用を1000億円程度減らす効果が見込まれるが、削減時期は明記せず。

・60歳代前半の公務員が退職後、企業などに天下りした場合、賃金と年金の合計が月平均48万円までは年金を全額受給できるという優遇措置を廃止し、同年齢のサラリーマンが再就職した場合の月28万円に統一する。

・共済年金独自の上乗せ制度の「職域加算」は10年に廃止する。すでに受給している公務員OBや、職域加算分の保険料を納めた現職公務員への給付は継続する。また、代わりに公務員版の企業年金を創設するが、具体的な制度設計は今後の検討課題。

・積立金については両年金の基礎年金部分と報酬比例部分を共通財源とし一元的に管理・運用、利回りや評価方法も統一する。積立金が地方債購入や学校施設整備費に充てられている実態を踏まえ独自運用も認める。遺族年金受給権を父母や孫らに引き継ぐ「転給制度」は廃止するが、時期は明記せず。


(以上、読売新聞-4月24日12時37分更新、産経新聞-4月25日3時1分更新、両記事より要約)


[厚生・共済年金一元化 政府・与党が基本方針 28日に閣議決定]
 厚生、共済両年金の一元化を検討する政府・与党年金協議会は二十四日、公務員OBの年金を減額することなどを盛り込んだ基本方針をまとめた。与党内の了承手続きを経て、二十八日に閣議決定する。政府は今後、細部についての制度設計を行い、平成十九年の通常国会に改正法案を提出する方針だ。
 公務員特権のうち、恩給期間分を税金で負担する「追加費用」について減額する。これに伴い、追加費用の適用を受ける公務員OBの年金額のうち恩給期間分の27%を削減。ただ、いつから削減するかについては今後の検討事項となった。年二百五十万円を超える人を対象にするため、OB約二百十五万人のうち適用は約八十万人にとどまる見通し。削減幅は年金額の10%を上限とする。
 共済のみの上乗せ支給制度「職域加算」は二十二年に廃止すると明記。ただ、すでに受給している公務員OBや、職域加算分の保険料を納めた現職公務員への給付は継続する。廃止後に企業年金に相当する新たな制度も新設する。保険料率は二十二年から引き上げ始め、公務員共済は三十年、私学共済は三十九年に厚生年金と同じ18・3%に統一する。
 積立金については両年金の基礎年金部分と報酬比例部分を共通財源とし一元的に管理・運用、利回りや評価方法も統一する。積立金が地方債購入や学校施設整備費に充てられている実態を踏まえ独自運用も認める。遺族年金受給権を父母や孫らに引き継ぐ「転給制度」は廃止するが、時期の明記は避けた。
     ◇
 【視点】
 ■事実上の一元化断念
 ■官民格差解消…半世紀後
 政府・与党がまとめた基本方針は、公務員特権のうち上乗せ支給制度「職域加算」と遺族年金受給権を孫らも引き継げる「転給制度」の廃止を打ち出したほか、保険料統一時期を明記し、年金一元化へ大きく踏み出した。しかし税投入制度「追加費用」の一部は温存されるなど「官民格差」是正の宿題は事実上先送りされたままだ。
 追加費用は対象者がいなくなれば自然消滅するので、将来的には厚生、共済両年金の負担と給付水準は同じになる。だが、それは五十数年後のことだ。その他の官民格差が完全解消するのにさらに何十年。保険料率の統一にも二十年余かかる。政府側は「年金の世界で経過措置は数十年単位は当たり前」と説明するが、あまりに長い歳月といえ、「事実上の一元化断念」との批判は避けられそうにない。
 現役公務員への過剰な配慮も目につく。保険料率引き上げの一部を積立金で肩代わりし負担軽減する仕組みを認めた。「職域加算」は廃止されるものの、これまでに保険料を払った分は老後に支給される。企業年金に相当する新たな上乗せ年金も検討される。
 新たな懸念もある。追加費用抑制のためにOBの年金受給額を減らすことは、国民負担軽減につながり歓迎すべきだ。しかし、公的年金削減論の「口実」にもされかねないため、警戒が必要だ。
 年金の不公平感が国民の年金不信の大きな要因になっている。政府・与党は議論をここで終わらせず、国民年金を含めた一元化の検討に早期に着手すべきだ。(河合雅司)
(産経新聞) - 4月25日3時1分更新


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>負担と給付水準が同じになるのに五十数年かかる (PJ)
2006-04-26 14:24:17
共済年金が実はお金が足りなくなってきていて、厚生年金と一元化することで厚生年金のお金をあてに出来るというような話は本当なのでしょうか。とっても不愉快なんですけど。
まぁ、これも何ともです・・・・ (tsubamerailstar)
2006-04-27 01:18:23
恩給法を引きずっているという問題点が色んなところで顕在化してくるわけですが、財産権という観点があるにせよ、削減割合と年250万の最低補償が民間平均の201万より遙かに高いじゃねぇかという批判はいたし方ないかなぁ。

私の祖父は(生まれる前に亡くなりました)教員だったのですが、「元々公務員というのは給料が安くなり手がいなかった。まぁ、それでも安定はしているし老後は恩給がある」といった説明を祖母はしていましたね。恩給には転給制度があり共済年金にもそれが引き継がれていますから。実際そんな感じで職域加算も労働三権がある民間との待遇差の補償と守秘義務ということのようだったみたいですが。



>PJ様



概ね正解です。え~っと解りやすい前例ですと厚生年金に統合された国鉄共済と農林共済日本電信電話共済かな。ここら辺は単体で維持することが難しくなることが見込まれたので厚生年金に統合されました。船員保険も時間の問題何ですが、こちらは健康保険と労災、雇用保険もセットになっているのでこれまた技術的に難しい(と、いうより旧厚生省と旧労働省の連携が上手く行っていないのでしょう)のですが。

第二号被保険者(サラリーマン)は国民年金の滞納分も含め、相当割食っているのは間違いないと一応社労士の資格持っている私は断言いたします。(苦笑)



コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-04-27 10:12:35
>PJ様

tsubamerailstar様が詳細に解説されている通りです。健康保険でも同様の現象が見られます。ヤバイのは体力のありそうなところに統合してしまえと。皆保険・皆年金を成り立たせるには、ある程度仕方ないことかもしれません。



>tsubamerailstar様

あんまり派手に削減すると、財産権の侵害になって、訴訟を起こされたら敗訴確実ですからね。バランスとるのが難しいのでしょう。それにしても「削減割合と年250万の最低補償が民間平均の201万より遙かに高いじゃねぇか」に同意です。
Unknown (PJ)
2006-04-29 13:06:31
こんなことを言っては何なんですけど、

何だか公務員が寄生虫のように思えてきました。