猫研究員の社会観察記

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ヤマハ発動機、中国向けに無人ヘリ不正輸出疑惑

2006-01-24 02:47:49 | 安全保障・自衛隊
 このところ世間を騒がせている耐震構造計算書偽造問題や、ライブドアの株式不正取引はいずれも企業倫理が厳しく問われている問題である。それらに隠れる形であまり注目されていないが、ヤマハ発動機が中国向けに無人ヘリを不正輸出しようとした疑惑で捜査を受けている件も企業倫理が厳しく問われ、かつ安全保障にも関わる問題である。私には、堀江容疑者らの株取引に関わる不正よりも重大なことのように思われる。
 ヤマハ発動機が無許可で輸出しようとした疑惑がもたれているのは、自律的飛行制御機能などを持つ無人ヘリである。このような形式の無人ヘリは、化学兵器の撒布に使用しうるために、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)により、輸出には個別の許可が必要であると定められている。具体的には、外為法第48条「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。」という規定である。輸出先が中国だからいけないというわけではなく、どこへ輸出するの場合であっても許可は必要である。もっとも、中国は早速軍事転用しているとされるので危険度は高い。ヤマハ発動機側は「このタイプの無人ヘリは許可の必要がないと認識していた」と弁明しているが、それが事実としても重大な過失である。米国産牛肉に除去しなければならない脊柱がついていたどころの騒ぎではない。さらに、静岡、福岡両県警の捜査本部などの捜索では、以前から無人ヘリの飛行性能を過小申告する形で規制をすり抜けて輸出を繰り返していた疑いがあることが分かったというから、それが事実ならば故意犯であり罪は重いといわざるを得ない。
 日本の企業は、安全保障に関わる輸出規制に関してルーズでありがちだ。何といっても代表的な事件は冷戦末期の1987年に明るみに出た東芝ココム違反事件であろう。これは、東芝機械と伊藤忠が共謀してソ連(当時)向けに、潜水艦のスクリュー音を消すのに役立つ工作機械をココム(対共産圏輸出規制)に違反して不正輸出した事件である。そのせいで、米国の潜水艦探査装置が無力化され、軍事的に打撃を与えてしまったとともに、日米同盟に重大な危機をもたらしかねないところだった。単なる不正輸出を超えて「敵国との通謀」とでも呼んだ方がよいような事件だった。
 今回の捜査中のヤマハ発動機の案件は、東芝ココム事件ほど悪質ではないのかもしれないが、企業の意識の問題というか倫理の問題として看過し得ないものである。常日頃から国防について真摯に考えていないことのつけがこういうときに回ってくるのである。また、こうした事件に対する刑罰が不当に軽かったり、そもそもスパイ防止法が存在しないという法の不備も指摘しておかなければならない。例えば、前記外為法第48条違反は、外為法第69条の6に「5年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定されているに過ぎないのである。何とも軽すぎる罰則ではないか。我が国を「スパイ天国」あるいは「脅威の輸出拠点」にしてはならない。


(参考記事1)
[飛行性能過小申告し輸出か ヤマハ発動機]
 軍事転用できる無人ヘリコプターを中国に不正輸出しようとした外為法違反容疑事件で、静岡、福岡両県警の捜査本部などの捜索を受けたヤマハ発動機が、以前から無人ヘリの飛行性能を過小申告する形で規制をすり抜けて輸出を繰り返していた疑いがあることが23日、分かった。
 捜査本部はこの日、約13時間に及ぶ本社(静岡県磐田市)などの捜索で、無人ヘリや書類など1100点を押収。取引にかかわった担当者の事情聴取も始め、本格捜査に乗り出した。
 経済産業省などによると、自らのコンピューターで制御して飛行できる無人ヘリは、輸出に個別の許可が必要。同社は、輸出したヘリは遠隔操作する「マニュアル式」で「規制の対象には当たらない」としているが、衛星利用測位システム(GPS)の搭載などで自律的に飛行できるような高性能機だった可能性もあり、捜査本部は同社に法令違反の認識があったとみて調べている。
(共同通信) - 1月24日0時46分更新

(参考記事2)
[不正輸出事件でヤマハ発動機を捜索、中国向けヘリ押収]
 「ヤマハ発動機」(静岡県磐田市)が産業用無人ヘリコプターを中国に不正輸出しようとした外為法違反(無許可輸出)事件で、静岡、福岡両県警の合同捜査本部は23日、同社本社などから関係書類や昨年12月、中国に輸出しようとしたヘリ1機を押収した。
 捜査本部は、法令で輸出の際に許可が必要な「自律的飛行制御機能」などを持つ機種だったとみて、性能や仕様などを詳しく調べる。
 調べによると、輸出先は中国・北京市の航空写真撮影会社「北京必威易創基科技有限公司(BVE)」。
 問題の無人ヘリは、電波が届かなくなると自動的に着陸し、経産省は「自律的飛行制御機能」にあたるとしている。一方、ヤマハ発動機側は「この機種はマニュアル型」で、事前入力したプログラムに沿って自動飛行し、経産相の許可が必要な「自律型」と区別しているとしている。
(読売新聞) - 1月24日0時13分更新


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2 コメント

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Unknown (hontino)
2006-01-24 11:12:41
全く同感です。こういうところは日本の役人は鈍感なのでしょうか。

この問題は、ライブだーより大きく取り上げるべき性質のものです。

また政治家がかんでいるのかなぁ~ソシテ口止め。
hontinoさまへ (猫研究員。)
2006-01-24 14:05:16
コメントありがとうございます。

政治家や役人も法制度の整備に熱心でないという点で鈍感ですが、利益至上主義の企業体質も厳しく非難されるべきですよね。ひいては国民の資質にもつながる根の深い問題だと思います。

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