遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

スクレイピー

2011-04-14 21:10:14 | BIONEWS
久しぶりに震災以外のニュースです。

羊の伝染病スクレイピー、6年ぶりに発生 福岡市(朝日新聞) - goo ニュース
2009年に県外から繁殖用に購入した羊だったそうで、正確な潜伏期間を知りませんけど個体の老化に応じて普通数年ですから福岡で発生したとは考えにくいです。羊で起こるプリオン脳症(伝達性海綿状脳症)はけっこうありふれた病気らしく、疫学的にこれは人間には移らないとされてます。この点では牛のBSEと違います。昔、英国で起こったBSEの事件は、羊の肉骨粉から牛へ移りそれが人間に感染した可能性があるそうです。プリオンは細菌でもウィルスでもなく『変性タンパク質』でして、構造の狂ったタンパク質がまともなタンパク質に作用して同じ変性タンパク質を生成させます。なんでか知らんけど、ほ乳類の脳は変性タンパク質に弱いんよ。それと老化と密接に関係しているらしく、大人のかかる病気です。

プリオン:空気感染は「非常な少量でも致死」(WIRED VISION) - goo ニュース
これは1月に出たニュースでしたが、ちょいと紹介しておきます。プリオンが空気感染しうるという研究結果です。この実験はスクレイピーを引き起こす種類のプリオンを含む脳をすりつぶして作ったエアロゾルを噴霧するとマウスが海綿状脳症で死んじゃうってことでした。肺経由なら経口よりも低濃度で効果があったそうです。まあ、こういう体験を普通はしませんから普通の人は心配ないのですが、脳を研究材料にしている研究者やと殺場や飼料工場等で働く人は気をつけた方がいいかもしれないと記事に書かれてました。
コメント
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