遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ウェルナーヘリカーゼ

2007-06-28 21:31:51 | 大学生活
今日は研究所主催のシンポジウムでした。すっかり忘れてて大遅刻!

ほとんどの演題が分野が遠くてさっぱり分かりませんでしたが、それはそれで楽しめました。その中でひとつだけ知ってる遺伝子が出てきました。それがWRN。ウェルナー症候群の原因遺伝子です。この遺伝病は金沢でけっこう多いそうです。知りませんでした。WRNの実体はRecQ型のヘリカーゼです。ヘリカーゼというのはDNAやRNAのらせん(へリックス)構造をほどく酵素です。へリックスをほどくからヘリカーゼ♪RecQ型は大腸菌から高等ほ乳動物まで普遍的に持っているので、地球上のDNAを遺伝担体とする生物にはこのヘリカーゼがもれなく必要ということなのでしょう。このヘリカーゼは組み換えの中間体や複製が途中で止まった時に出来ちゃう構造やテロメアのような異常な構造をほどく活性を持っています。これがなくても死にゃあしませんが、DNAの欠失を伴うような異常な組み換えが頻発して非常に速いスピードで細胞は老化し、癌のリスクが増大します。ヒトはWRNの他にも4つのRecQ型ヘリカーゼを持ってます。同じ活性を持っているはずですが、どれが欠けても遺伝病を発症しますからそれぞれに特有な機能があってそれぞれの役割を果たしているはずです。そこら辺がこの遺伝子の研究のポイントでしょうね。
コメント (2)
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