滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

閑谷(しずたに)学校を訪れて

2018年12月09日 | 建築

岡山県備前市にある閑谷学校(正確に言うと旧閑谷学校)を訪れて来ました・・・。閑谷学校は、現存する日本最古の学校建築であり、現存する世界最古の庶民のための公立学校でもあります。閑谷学校は、江戸時代の寛文10年(1670年)に岡山藩主池田光政によって創建されたものです。初めて閑谷の地に来観した池田光政は、「山水清閑、宜しく読書講学すべき地」と称賛し、地方のリーダーを養成する学校の設立を決めました。そして、学校の永続を願う藩主の意を受けた家臣津田永忠は、約30年の歳月をかけて、元禄14年(1701年)に現在のような閑谷学校の全容を完成させました。

 

上の画像は、国宝の講堂です。入母屋造りの屋根は、創建当時は茅葺きだったそうですが、現在は備前焼瓦が葺かれています。閑谷学校については、予備知識も何もなく訪れたので、最初に遠くから全貌を概観したとき、紅い瓦葺きだったので、石州瓦なのかなぁ・・とも思ったのですが、石州瓦にしては色にムラがあるし、岡山で石州瓦というのもおかしいし・・と考えているうちに、間近で瓦が見えるところまでたどり着き、ひょっとして備前焼・・?と思ったら、本当に備前焼の瓦が葺いてありました。

備前焼瓦では、耐久性はあっても水密性(屋根の防水)には問題があるのでは・・と思いながら、眺めていると軒先にパイプ状のものが取り付けてあったので、これは水抜きパイプだなとすぐに分かりました。つまり・・備前焼瓦は漏水することを前提に葺かれているということのようです。ちなみに、後で資料館で知ったのですが、この水抜きパイプも備前焼で造られているとの事で驚きました。

 

もう一つ驚いたのが、閑谷学校を取り囲むカマボコ型の石塀です。(上の画像)、こんな石の塀は見たことがなかったので、どんだけの手間暇をかけて造ってんねん!!と思ってしまいました・・。この長さ756mにおよぶ石塀は、形の異なった石を組み合わせた切り込みはぎ式の石築きで、閑谷学校の全容が完成した元禄14年(1701年)にこの石塀も完成したそうです。石塀の内部には、清浄した割栗石をつめ雑草木を生やさないように築造されているとの事です。

 

最後に紹介するのが、私が気に入った文庫の窓に取り付けられている銅板(雨戸?)です・・。漆喰壁と緑青が現れた銅板との質感のコントラストが生えていて、めちゃくちゃ渋かったです。この銅板の緑青のムラとか、凹凸とか、随所にある赤錆(おそらく銅板に打ち付けた釘から染み出た下地の鉄の錆か何か)などの粗い質感と漆喰の無機質で吸込まれるような白とのコントラストが最高です。私もこういう銅板の使い方をしてみたいと思ってしまいました。(現在は、こういう緑青は出ないでしょうけど・・)、ちなみに、文庫の床下換気口にも同様の銅板が取り付いていました。

 

 

 

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