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Vaccine competition (サーバリックス vs ガーダシル)

2011-01-31 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
海外ではすでに不評な宣伝合戦や、表現内容が不適切だという指摘が話題になっています。

娘に接種をしないときめた親のあげる理由に「メーカーの過大な宣伝」などが入っていることも気になる点です。
米国では前のCDCのディレクターが退職後にそのままMerck社のワクチン部門プレジデントになり、関係者に不評だと聞いています。(日本でいうところの天下り)


各国の予防接種の制度にワクチンが組み込まれるかどうか、は製薬会社にとっては商売上重要ですし、国にとっては安定供給をしてもらうために重要です。

HPVワクチンは2006年にMerckのガーダシルが認可された後、GSKのサーバリックスも認可され、現在はこの2つとも認可している国が増えています。

米国ではサーバリックスの認可が遅れ、英国ではサーバリックスが国の無料プログラムに選ばれたのは、単純にサイエンスや公衆衛生の話ではいんだろうなあ・・と想像できますが、英国がサーバリックスを国の予防接種プログラムに採用されたのは、費用交渉で勝ったからと説明されています(その額は公開されていません)。

その後デンマークやフランスが国のプログラムとしてガーダシルを採用。国によって事情はいろいろですし、かかりつけ医のところで話し合って決めればどちらでもいいシステムもあります。

サーバリックスは16型と18型のみで、ガーダシルは6型と11型が加わった4価で、「どちらでもいいんじゃない?」と思うひとから「こっちがいい」というこだわりも人によって違います。

サーバリックスに使用されている新しいアジュバントの効果を期待する、という人もいれば、そんな未知数のものは嫌、という人もいます。
コンジローマの予防もぜひしたいのでガーダシル、という人もいれば、そんなのみたことも聞いたこともないから私には関係ないという人もいます。

海外では、完全国費ではなく、加入している医療保険がカバーする仕組みのところもあり、ここではガーダシルが有利のようです。

なぜかというと、最初にセックスをするのが20歳だとして、「10万人あたり6人の確率で治療が必要な子宮頸がんになるかもしれない」は5~10年先の遠い話ですが、尖圭コンジローマはそれより早い費用対効果を検討できます。
(コンジローマは難治性だったり、何度も再発する人がいますので、医療費削減ということでは理解しやすい)

世界全体でみるとやはり4価ワクチンのほうがマーケットが広く、売り上げでみるとサーバリックスは2008年では全体の10%以下になっています。
2015年にはガーダシルが世界全体の65%、サーバリックスが35%と予測する研究者もいます。

GSKはこれに対する戦略としてか、価格差をつくっています。

2008年、南アフリカで36%の値下げ
2009年、シンガポールでは200シンガポールドルから150ドルに値下げ

ヨーロッパではもともと1回あたりCervarixは$180-210、ガーダシルは3回接種すると$300-500と、ガーダシルより低めに設定されています。

また、GSKは途上国に対しては最大で75%まで値引きをするといっています。
(インドでは1回あたり60ドル)
子宮頸がん全体の90%以上は途上国の女性でおきていますし、UNICEFやGAVIがパテントを得るまでの間、この値引きに協力、というのは美談にもなります。

2010年にはカナダでも30%値下げをきめました。
カナダはずっと、HPVワクチンを公費でカバーすべきか?という議論が続いていた国でもあります。

日本ではサーバリックスは12000円。ガーダシルがいくらになるのかまだわかりませんが、慣習的には同じような薬は同じ値段になることから、ガーダシルがインパクトをもたらすほど安くなる・高くなることは想像しがたく、またサーバリックスが値下げするというようなことも日本ではなさそうです。

他のワクチンもそうですが、自治体プログラムでは公的プログラム納入価格などを設定してもらえると、公費(税金)での予算としては助かるんですが~。
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