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咽頭がんの増加とHPV感染/ワクチン

2007-08-30 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
テキサス大学のM.D.アンダーソンがんセンターの研究者が2007年8月27日にOnline発行となったジャーナルCancerに発表したHPVの話題を紹介します。

今回のニュースは、HPV感染の顕著な45歳以下男性で、咽頭がん(主に扁桃と舌根部)が増えている、という話で、診断されている男性は女性の3倍。

新規に診断される頭~頚部のがんは年に45000件、このうち喉頭がん(主として咽頭がん)となっています。進行した状態で生命に関わるレベルでの診断が半数以上
です。

喫煙が減るなかで、これらのがんが増加していることについて、研究者は腫瘍関連ウイルスの流行の関連性を考慮しています。

HPV、とくに16型の曝露が咽頭がんとの強い関連性を指摘しており、最近承認されたHPVワクチンの影響が大きくなると研究者は考えています。

子宮がんの予防目的で若年女性・思春期女子対象のHPV16/18ワクチンの接種がはじまりましたが、研究者らは女性限定の接種では男性でよくおきやすい咽頭がんなどの予防効果が限定的なものにならないか、と指摘しています。

このため、男性におけるワクチンの有効性と安全性の調査を迅速に行うようし、もしこれが成果につながる場合は、若年男性・思春期男子にも働きかけたい、と研究者は考えています。

"Trend in Head and Neck Cancer Incidence in Relation to Smoking Prevalence; An Emereging Epidemicof Human Papillomavirus-Associated
Cancers"
Erich M Sturgis, Paul M Cinciripini,
Caner(Online August 27, 2007 printed Oct.1 2007)

情報源;Science Daily 8月28日  www.sciencedaily.com

※HPVワクチンは、すでに50数カ国で認可接種がはじまっており、日本でも万有製薬とグラクソ・スミスクラインが臨床試験中です。

※オーストラリアでは思春期男子も接種対象になっています。

※ひとりあたり4万円弱のコストが、日本での導入にどう影響するか。思春期の同意確認をどのようにとるのか。準備が大切なワクチンです。

(写真は東北旅行中の青木編集長が満喫したそば茶)
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