感染症診療の原則

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Guidelineとその周辺

2019-10-10 | 青木語録

ある大家から「新しい市中肺炎ガイドラインにおけるグラム染色の位置づけについて、青木の意見が聞きたい」という恐ろしい依頼が突然舞い込み、「Guidelineから距離を置く人生だから」と断るわけにもいかず、結局1日がかりで新しい米国胸部疾患学会・感染症学会のガイドラインを(30分ほど前に)読み終えた。

Diagnosis and Treatment of Adults with Community-acquired Pneumonia An Official Clinical Practice Guideline of the American Thoracic Society and Infectious Diseases Society of America
THIS OFFICIAL CLINICAL PRACTICE GUIDELINE WAS APPROVED BY THE AMERICAN THORACIC SOCIETY MAY 2019 AND THE INFECTIOUS DISEASES SOCIETY OF AMERICA AUGUST 2019

https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/rccm.201908-1581ST#readcube-epdf

以前はガイドラインを読み終えると、その疾患を制覇したような達成感、最高の診療が提供できる自信に満たされたものだが、今は別の様々な思いが浮かぶだけとなった。

読み始めると・・初っぱなから(例外を除き)、グラム染色要らない、血培要らない・・。Sigh

ガイドライン:○○○は不要。その根拠は「役立つという質の良い研究が無い」
編集長:≒ 質の良い研究をすれば逆の結論になるかも・・

ガイドライン:○○○は不要。その根拠は「死亡率が変わらない」
編集長:死亡率だけが測定対象か? 起炎菌の名前も知らずCTRXで患者が治るのと、グラム染色で見えた肺炎球菌がPCNGで8時間で消えたのに、胸部写真も白血球数も「CRP」も更に悪化してから治るのを経験するのと、教育効果やAMR対策へインパクトの違いは・・

編集長:研究は測定対象や介入の結果を厳密に定義するほど精度が上がるのだろうが、定義されていないものの中に沢山の宝物が隠れているかも知れないし・・。精度が犠牲にするものに対する思いも大事かも・・

ガイドライン:○○○は不要。その根拠は「治療も死亡率も変わらない」
編集長(+埼玉医大の岡先生):「肺炎」と思って血培とったら大腸菌が生えて・・尿路感染症によるARDS/心不全と判明。高齢者の「肺炎」は本当に良く騙される・・一度謙虚になってみようか・・

医師人生の最初の年に出会った感染症の師匠の言葉:
「目の前の一人一人の患者がオレのガイドラインだ!」

当時も今も「意味不明」だが、今日ほんの一瞬だけ、その心に触れた気持ちに・・

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