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PPEの不足から生まれた工夫

2020-05-14 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
新型コロナウイルスに対応しなくちゃ!と 各地で購入希望が通常以上に発生したために在庫不足が発生しました。
中国からの製品・材料に輸入に依存していたものは、とたんに作れなくなったりもしました。

もちろん、昔は使い捨て製品など大量になかったので、別の方法で対応をしていたわけですが、最近で(ゴミの問題を考えなければ)バンバン使って捨てて、、という状況になっていました。

コロナ対応でPPEが不足してからの混乱の中では、雨合羽やゴミ袋などが一部の医療機関で使われたというニュースもありました。
今後に備えてこのことを考えてみたいと思います。

まず、これは医療用ではありません。
使う場合は、最後の最悪の選択肢として準備をする必要があります。
つまり、「標準的なものではない」という前提で、物品が不足しているの仕方なく代用するのであり、 院内で正式に採用する場合は、「どのような状況でどのような作業をする際に必要か」をスタッフに理解してもらう必要があること、着脱手順が安全に行えるようなガイダンスを準備する必要があります。
(説明不十分によって不安を感じているスタッフがいることを想像しましょう)

多くの現場は、まずWHOや米国CDCが提案しているように、使用する機会を減らす努力をしました。1回の動線の中でできる作業(容認範囲)を決めました。
病室内と外のコミュニケーションを助けるモニターやマイクの設置などもその工夫のひとつです。
業務を見直し、作業をする人数を減らしたり、患者との接触を減らすことで使用機会を減らしました。

また、同様にWHO・米国CDCが提案しているように、一定の手順を守っての長時間の使用や再利用を試みました。

この間に、様々な技術が開発され、リユースできる素材のPPEなども開発されています。 医療用として使用するための基準は各国によって違いがありますが、after coronaでは、こうした製品なども備えとして導入されるでしょう。

例;カナダ Arc'teryx Medical Gown



Education to Choose the Right Reusable Isolation Gowns Wisely






ディスポ製品がこんなに使えるようになる前は、医療用布ガウンが中心でした。米国では使い捨て製品が多く使われていますが、ヨーロッパなどでは再利用可能なものもつかわれています。

<使い捨て(使い捨て)アイソレーションガウン>
・1回使用して廃棄
・不織布材料、またはプラスチックフィルムなどの液体浸透からの保護を強化する材料と合わせてつくられる
・基本的な原材料は、合成繊維(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン)

<再利用できる布ガウン>
・特別な繊維や仕上げ(化学的または物理的処理)工程により、基準を達成するように設計されている
・再利用可能な(マルチユース)ガウンは、使用するたび洗濯
再利用可能な衣類は、通常は50回以上の洗濯・乾燥が可能

<ガウンの選択>
・患者との相互作用の性質に基づいて選択する。
・感染物質との予想される接触の程度、バリアの血液および体液浸透の可能性、予想される血液量、体液、ケアの手順・活動期間を考慮して選択





ちなみに・・・日本では、患者の使用したシーツや医療者のユニホームを院内の洗濯部門や外部の契約業者が「通常通りに」洗濯してくれないため、看護師が病棟で(血液などで汚染もしていない)リネンを消毒しなければならないといった業務負荷に苦しんでいる病院もあります。
医療安全部門は、不要な消毒薬曝露機会を減らすよう、洗濯の適正化に取り組む必要があります。

Texas Medical Centerのランドリー部門は、洗濯のユニバーサルプリコーションを説明しています。

また、こちらの会社では、廃棄物を減らすためにReduce, Reuse, Recycleを提案しています。
According to the New England Journal of Medicine, hospitals generate approximately 6,700 tons of waste daily. The American Medical Association estimates that by using reusable linen products and engaging in recycling methods, hospitals can reduce surgical waste by 73% in weight and 93% in volume.

第2波に備えましょう。
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