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予防接種へのviolence 化血研問題

2015-12-27 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
化血研が「するべき」報告や手続きをごまかしていた・・・ということで今までで一番長い業務停止処分になるかも、が週末のニュースでした。

製薬会社がらみの問題は世界にもいろいろありますが、守るべきルールを守らない、規律や信頼へのViolationについて規制をしている官庁からだけでなく現場からも批判や指摘がでてきています。

信頼が崩壊したり後の火種になるから、生ぬるい対応をしないで解体したほうがいいんじゃないの?と思っていましたが、厳しい処分のあとにもとにもどすと読めるニュース。

ワクチンそのものは検定にとおっていて、使っても大丈夫だよという話は、一般の人たちには受け入れられない複雑な論理展開なのでありますが、そもそもこの会社が消えても、他の企業の生物製剤で十分まかなえるよーとか、海外から輸入すれば大丈夫!というようなリスク管理ができていないのが課題。

他の国と最初から仕組みが違いますね・・・

四種混合ワクチン →赤ちゃんで百日咳とかはやったら怖いんですけど?
B型肝炎ワクチン →定期接種になるんじゃなかったの?
A型肝炎ワクチン →独占ですけどどうするのー?

日本脳炎ワクチン、狂犬病ワクチンは他にも手段がありますが、いずれにしても流通不安定ですと現場や患者さんたちにたいへん迷惑がかかります。

「B型肝炎は優先順位の高い人用に」それ以外はちょっと待てという状況になり、2013年の風疹のときと似たような展開。
その提案を小児科学会が出しています。


国内にはもうひとつMSDが出しているチメロサールフリーのヘプタバックス-Ⅱ。こちらは国内市場の2割だったそうですが、ビームゲンが使えない間はこちらで対応になります。

母子感染予防
曝露事故後予防
家族やパートナーがキャリア
が優先ということで、

この他に、
これから留学や赴任
まもなく保育園に入る
仕事上必要(医療者)
実習をするのに不可欠(医療系学生)
など、必要としている人たちのところで必要なワクチンが早く使えるようになりますように。
2本まで接種したのに3本目がないよ?!とか困りますね。

巷のニュースにはない情報としては・・・
もともと輸入の6種混合ワクチン(破傷風、百日咳、ジフテリア、Hib、不活化ポリオ、B型肝炎の6種類が1本には言っている)を選んで接種している場合は問題ないようですが。輸入ワクチンを扱っているクリニックを探すのは都市部以外ではたいへんです。

米国にはB型肝炎ワクチンだけでもこれくらいの選択肢がありますが、ヨーロッパ・オーストラリア・カナダ・シンガポールなどで接種できる6種混合ワクチンなどは導入されていません。
MMRV(麻疹・風疹・おたふく・水痘の4種混合)はあるのに。


さて。今回は内部告発からわかったということですが、40年間も誰も軌道修正しなかったの?ということが衝撃的でした。
薬害エイズの原告の方たちの怒りや落胆をみるにつけ、人や組織の因子をどう制御していけばいいのかを考えてしまいます。

内部告発自体は健全です。その後もアクションも詳細に可視化される時代。他の予防接種や医療への信頼へのharmとならないようにしていただきたいです。

Drugmaker Kaketsuken raided over decades of alleged faked records, illegal additives



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