冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

木曽駒ヶ岳 楽々テント泊デビュー

2013-09-08 10:53:52 | 旅行
9月の第1週は有給休暇をとることができたのだが、事前に計画していたことはほとんどキャンセルという状況に。
中国の張家界旅行は直前でいろんなハプニングがあり、結局キャンセル。
まあ、このおかげで空いた時間を家族関連で有効に使うことができたので、よかったのかもしれないが。
そして、この土日に予定されていた会社のオフサイトミーティングも結局欠席に。
オフサイトを東北の被災地で行うということで、6月以来のボランティア参加も考えていたのだけど、これも果たせず。
しかし、5日、6日の木曜・金曜に予定していた、国内での登山は実行できた。
それで、以下はその記録。

この時期に休みが取れることになって、1泊2日で登山を考えた時には行先についていろいろ迷いました。
季節的に紅葉には早いので、夏山として面白いところがよさそう。
そして、せっかくの平日なので、休日には無茶混みするところに行くチャンスである。
あとは、当初予定では中国旅行から帰ってきて翌日からの登山となっていたので、あまりハードなのは避けてできるだけ楽しめるところがよさそうだなと。
北アルプスは行きたいところが多いけどどれもハードな感じだし、南アルプスは甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳を次のターゲットにしたいけど前日甲府駅で野宿になりそうだし、八ヶ岳のどれかにしようか、東北地方とか北陸、近畿の山にしようか。。。

で、迷った末に結局決めたのが木曽駒ヶ岳。日本百名山でもある、標高2956メートルの中央アルプス最高峰。
見どころも多く、千畳敷カールという氷河が削ってできた勇壮な風景は日本の山岳風景の中でも特に絶景とされるものの1つ。ある著名な登山ブロガーさんも、この景色に感動して登山を本格的に始めたようですし。
すぐ隣にある宝剣岳は切り立った岩の峰で、滑落者も続出する登り甲斐のある山だけど、稜線からの登攀距離が短いので慎重にやれば岩登りの技術がなくても頂上を目指せる。
ということで、いつかは行きたい山の1つでした。

今回の旅の目的と照らしても、ロープウェイが海抜2600メートル以上の地点まで連れて行ってくれるので、実際に登るのは千畳敷カールを見ながらの300メートル程度という楽チン登山ができるのが魅力。ハードな行程なく楽しめるのが素晴らしい。
ロープウェイで楽だということは、土日に行くと観光客や登山客で激混みということでもあり、それは数々の登山ブログでも指摘されている事実。しかし、これも平日なら緩和されることが見込まれますしね。
そして、この機会を利用して、テント泊デビューも一気にすることにしました。
有に10kg以上の装備を背負うことになるテント泊登山は、私程度の体力だとかなり苦しくなることがわかっていたので、東京のハイカーが雲取山でテント泊デビューをして地獄の苦しみを強いられたりするのをブログで読みながら、デビューに相応しい楽チンコースを探していたのです。
ロープウェイという文明に頼りつつ、頂上直下の整備されたテント場でのデビューが可能という、まさに充実した有給休暇のためのコースではないか。

しかし、ご存じのとおり、台風とそれに伴う前線の影響で、日本列島の天気は大荒れだった今週。
関東でも竜巻被害が出る有様。前線の活動は依然として活発で、テレビでやってた水曜の天気予報では登山なんて自殺行為のように見えました。
が、そこは天気図を中学校の理科の知識で読む能力に長けている私。かなりの可能性で前線の影響は木曜夕方までになくなると予想。昼過ぎまでは雲が厚いかもしれないけど、夜空はバッチリ満点の星空となり、金曜の朝は最高のご来光が拝めると踏みました。
果たして結果はいかに。

木曜日は朝7時に新宿のバスターミナルを出る中央高速バスの伊那飯田線に乗ります。駒ケ根インターを目指します。
そして、お約束の大雨。これは調布のあたりですが。まあ、これは想定内です。強い雨雲の東西の幅は80㎞程度と踏んでいたので、駒ケ根に近づけば雨が降っていたとしてもパラパラ程度だろうと思ってました。


そして、10時半に着いてみると曇り。またも天気予報に勝った。蔵王と同じパターンじゃ。
天気より、行きのバスだけで3時間半もかかる遠さに参ってました。
駒ケ根インターからは、路線バス(これが凄い。山道を30分程度登っていくけど、景色も社内の観光アナウンスもドライバーのテクニックもどれも最高)、日本一高いところにあるロープウェイを使い、楽チンで千畳敷カールへ。
バスの接続はいいし、ロープウェイも本来30分に一本ですが、お客が多いと柔軟に臨時便を出しているようで好感持てました。
しかし、天気は思い切り曇天で眺望はたかが知れていたので写真はなし。

ところが、雲を抜けて11時40分ごろに千畳敷に到着すると、この様子。

流石の超絶景、千畳敷カール。大迫力。でも、何となくやさしい感じの曲線で、私には女性的に感じられました。
日本って凄いと思うよ。この大自然。東京から4時間半程度でヨーロッパアルプスかと思う絶景にたどり着くってのはホントに凄い。
これを楽しまないのは本当にもったいない。

まあ、天気はずっと晴れているわけではなくて、雲が相当な速さで動いているので景色が隠されてしまう時間も結構あります。
景色を楽しみながらサンドイッチ食べて昼食にします。
そして、12時半ごろまで一般観光客用の遊歩道で高山植物を探しながら散歩しました。千畳敷は多くの花が咲く花畑なのですが、さすがに夏の終わりでは花勢は終盤でしたね。
チングルマは花が終わって、名前の由来である穂が舞っていました。


ナナカマドは赤い実をつけ始めていました。10月には葉が真っ赤になって、紅葉が見事なのでしょう。


ミヤマリンドウとサクライウズは見頃でした。青い花は独特の強さを感じます。



エゾシオガマもまだ残っているのを見つけました。黄色っぽい白さと三角形の花の形が何となく可愛げがあります。


で、ようやくテント泊の重い荷物を担いで登山開始です。
きつい登りは1時間足らず(実際には登山客がほとんどいなくて空いていたので40分程度で行けた)なので、何とか頑張れます。
しかし、整備された登山道は結構急でした。階段状になっていると登るの辛いのよね。


高度を上げていくにつれ、ガスも濃くなってきました。下を見ると、千畳敷カールもガスで覆われてしまったようです。


稜線に出ると、数メートル先もよく見えない状態に。今回は目印が多くて迷うことのない登山道ですが、そうでなかったらかなり怖いものがありますね。


夕方には晴れると勝手に決め込んで、黙々と歩きます。途中、中岳という標高2925メートルのピークを登ります。
頂上には小さな祠がありました。ここからは木曽駒ヶ岳、宝剣岳だけでなく、中央アルプスの山々に加えて南アルプスや乗鞍岳なども眺望できるはずですが、今日はガスで無理。明日のご来光をここで拝むことにして早々にテント場を目指します。テント場は、頂上直下にある駒ヶ岳頂上山荘に併設されています。
2時過ぎに着いてみると、頂上山荘は閉まっていました。こんな天気で登山客がいないのか、この日は宝剣岳と中岳の間にある宝剣山荘しか営業していないらしい。ちなみに、宝剣岳から木曽駒ヶ岳までの稜線にはこの2つの山荘に天狗荘を加え3つの山荘がありますが、経営は同じです。テントの幕営料は、後ほど職員が徴収に来るらしい。
で、テント場に行ってみたら、何と1張しかないではないか。そのテントに泊まっていた方は、木曽駒には何度か来ているようで、今回はまったり2泊するとのことでした。
自分の天気予報能力は信じているものの、この状況にやや不安になる。
まあ、まずはテント張らないと寝るところがないので、初テント張ってみた。

花崗岩の風化した土壌が柔らかくて、ペグを打ったものの強い風だと飛ばされるような気がしたので、石を重しにしました。
因みに、テント場は石で風よけが作られていて、スペースも十分。平らな土地で張りやすかったです。初心者に優しいテント場でした。
さらに、2900メートルの高地にありながら、水場があります(美味しかった。中央アルプスのおいしい水だ)。これを自由に使えるのもポイント高いですね。
木曽山脈は水が豊富と聞きますが、それにしても凄い。
どーでもいいけど、テント場を略してテン場とか言うのを見聞きしたことがあるけど、トの一字だけ略することにどれほど意味があるのだろうか。

4時ごろに3人のパーティが1組やってきて、テント場は3張になりましたが、極めて静かでした。
少し雨もぱらついたりして、ガスは晴れず。文庫本読みながらマッタリ過ごします。
5時ごろにコッヘルとガスバーナーを使って初の食事。カレーヌードルにソーセージとゆで卵を入れたもの。特に創意工夫なく簡単なものなので写真はなし。
5時半ごろに山荘の方が幕営料を徴収に来られました。800円。その時に空を見ると、西側からのガスはまだまだ濃いものの、所々に晴れ間が。
夕日は期待できるかもしれないと思って、木曽駒ヶ岳の山頂を目指すことにしました。
ガレ場のやや急な登りを10分行くとすぐに山頂です。すると、やはり夕方になって雲が下がっていました。
山頂には立派な社があります。


北東側の尾根。馬ノ背と呼ばれる方面です。下から沢の水音がゴーと聞こえてきます。


宝剣岳方面。


中央アルプスのもう1つの百名山である空木岳も奥の方に見えますね。東京からだとアプローチがやや難ありですが、登ってみたい山です。空木岳から千畳敷まで縦走してくるコースなら1泊で行けそうだし。


そして夕暮れ。オレンジから紫色に変わっていきます。駒ヶ岳の山頂は広く、四方の視界が開けていて景色がとても良いですね。


暗くなる前に急いで(と言っても10分の距離だが)テント場に戻ります。
夜は冷え込みが厳しかったですね。シュラフカバーがあった方がよかったのかも。でも、風もなく穏やかな天気で、テント場も人が少なくて静かだったので結構よく寝たように思います。9時過ぎに外に出てみたら、星が凄かった。天の川も久しぶりに確認。私のデジカメでは星空は撮れないですが。

朝は、3人パーティがご来光も見ずに縦走に出るということで、4時半ごろに起きてしまいました。日の出までは1時間ほどありますが、水場で顔を洗ったりしているうちに結構明るくなってきたので中岳山頂に行ってみます。
夜明け前の寒い中でしたが、空気が引き締まっていて気持ちよかったです。四方に雲海が広がっていましたが、上空は快晴。狙い通りになりました。
東側には、南アルプスの巨大な山塊と、その奥に富士山が見えます。


南アルプスの甲斐駒ヶ岳。駒ヶ岳という名の山の中では甲斐駒ヶ岳が一番高くて、木曽駒ヶ岳は2位です。その差はほんの11メートルですが。甲斐駒ヶ岳は、今年の紅葉シーズンか、来年の夏に絶対に登るつもりです。


そして感動のご来光。日本の山最高!


西側には木曽の御嶽山。富士山のような独立峰の火山ですね。相当でかい。圧倒的迫力です。男性的ですな。これも登ってみたい山です。


ヒタキの仲間ですかね。日の出とともに鳥がたくさんやって来ました。


一度テント場に戻ってシュラフを畳んだりしていたら、ふと昨日の夕暮れ時に登った木曽駒ヶ岳の山頂にもう一度行ってみたくなりました。朝の景色も素敵かなと。
で、また10分かけて登りました。やはり、よく晴れた朝の風景は美しかった。


乗鞍岳方面。


北アルプスも少し見えました。空気が澄んでいる感じでした。


木曽駒ヶ岳は正に「中央」アルプスの主峰なので、山頂からは東西南北に本当にいろんな山々が展望できますね。
時間に余裕のある旅なので、ゆっくり楽しむことができてよかったです。

テント場に戻ってからは、軽くアンパンなどの朝食を取ってからテントを撤収。
今日は宝剣岳に挑戦します。が、その前に中岳の巻き道を通ることにします。雪のある時には通行止めになるやや危険な道で、片側が切り立った崖になっています。しかし、この道の眺望は素晴らしいので、危険を承知で挑む価値はあるでしょう。
写真の場面は、まだそれ程切り立った場所ではないですし、道幅も広めです。これが、かなり狭い道で断崖のところがあります。でも、浮石はなかったしちょうどいいところに手で捕まるのに適した岩があったりしたので、テント泊装備を背負いながらも比較的安全に進むことができました。


岩の間には、トウヤクリンドウがたくさん。まだ蕾でしたけど。


そして、いよいよ宝剣岳に挑みます。滑落者の多い難コースと聞きますが、晴れているし風も弱いので何とかなるでしょう。ザックはデポして身軽になって行きます。


鎖場の多い道です。確かに危険度高いかも。足を踏み外すと一気にかなり落ちますね。死ななくても相当痛いでしょう。でも、自分としては鎖があったので意外と苦労せず登れた感じです。安全のために三点支持を徹底していれば何とかなるものです。


で、この岩の上が頂上。取りついて、顔が頂上の上に出るところまではいったけど(証拠写真は撮りました)、どうしても頂上に足が上がらなかったですね。足をかけるところがほとんどないので、一気に開脚して登るしかないと思うのですが、ちょっと無理でした。技術があれば違う登り方で岩の上に立てたかもしれませんが。まあ、頂上に顎をかけたので登頂したということで自分を納得させました。


後は下山するだけです。まだ9時過ぎですけど。
お天気がよかったので、昨日とは打って変わって観光客も登山者もたくさんです。
千畳敷から稜線まで登ってくる人が多くて、細い登山道をでかい荷物背負って逆方向に進む私は邪魔者だったと思われます。
こんな時間に下りてくるので、いつ登ったんだと何人かの人に聞かれました。

下山途中で、青空の千畳敷カール。


一応、一般観光客の回る遊歩道も一周してみました。コバイケイソウの大群生地帯(花は終わってましたけど)とかナナカマドの林があって、季節が合えば相当綺麗だろうということが想像できましたね。
ロープウェイの駅まで戻ってしばらくマッタリしていると、10時10分に臨時便が出るとのことなのでそれに乗りました。
晴れて、観光客が続々とやって来ているようでした。下りのロープウェイは私一人だけの完全貸切状態だったのに、上りは満員でした。
千畳敷カールに別れを告げて、木曽駒ヶ岳から下山です。


帰りの路線バスから見た景色。太田切川の清流です。この後、昼食取ってから川にちょっと入りました。


ビューホテル前で下車して、日帰り温泉施設の「こまくさの湯」を利用します。
この施設、かなりポイント高いです。入浴料600円ですが、比較的新しいのか施設は綺麗だし、大きなお風呂は気持ちいいし、露天風呂からは晴れていれば木曽駒ヶ岳方面が一望できます。1時間以上いろんなお風呂を行ったり来たりして楽しみました。
湯上りに昼食ですが、併設された食堂で地元産の黒川マス塩焼き定食をいただきました。マスは美味しかった。でも、ソースかつ丼などの名物を食べるならここでなくてもいいかも。食堂はあくまで食堂でした。この施設を出るとすぐに、いくつかのレストランやカフェがあるので、そっちの方がよいでしょう。


帰りのバスは2時50分駒ケ根インター発なので、2時間弱も時間があります。
駒ケ根市は自然を生かした遊歩道などを整備しているのを、事前のウェブでの調査で知っていたので、少し散歩します。
こんな林の遊歩道が整備されています。太田切川に沿った道もあって、川まで下りられるところがあります。昨日までの雨のせいか、かなり流れは急で水量も多かったので、岸辺にビーサンで入っていっただけですが。冷たくて気持ちよかったです。


川には大きな吊り橋がかかっています。これも散策コースの一部。


お花畑とか、スポーツ施設、そしてありがちなオブジェがあります。子供のころ家族旅行で山に行ったのを思い出しますね。



1時間ほど散歩して戻ってくると、ビジターセンターに併設された土産物屋と、現地の農産物加工品を売る場所がありました。
地ビールとソーセージを購入。帰宅してから早速食べたけど、かなり美味しかった。地ビールは、日光と南信州がこれまでのところ当たりです。


木曽駒ヶ岳一帯、観光地としてもっとメジャーになってもいいのでは?軽井沢の規模はないけれど、相当過ごしやすい避暑地だと思いました。冬は千畳敷でスキーできるらしいし。
まあでも東京から遠すぎるのかね。高速バスで3時間半だから。普通は上越方面に出てしまうんでしょうな。

お天気に恵まれ、楽チン登山でテント泊デビューも無事果たすことができました。
そして、絶景と温泉をマッタリ楽しむという休暇の目的もバッチリ。
今度は中央アルプスの他の山から縦走して来てみたいですね。

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2 コメント

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こんばんは (VERYBLUE)
2013-09-15 19:16:46
リンクから飛んで閲覧させて頂いています。
木曽駒ヶ岳の記事を見てビックリしました。ほぼ、同じコースですね@x@
撮られている被写体もほぼ一緒。

木曽駒ヶ岳はテント泊すると、ちょうどロープウェイの始発組みの人たちがカールを登ってくるので、ちょっとした優越感がありました。

中央アルプスの空木岳は今年登りたかったのですが
、来年登ろうと思っています!
返信する
コメントありがとうございます (icyfire)
2013-09-16 03:36:16
鳳凰三山の時もそうでしたが、VERYBLUEさんのコースと被ってますね。地図を見てコースや時間配分を考えると、公共交通機関を使う時には似たパターンになりがちかもしれないですね。
木曽駒はロープウェイのおかげで、登山客よりも気楽に観光・ハイキングに来られていた方が多かった気がしますね。確かに、大きな荷物で午前中に山を下って来ると、そうしたハイカーにいつ登ったのか聞かれたりしました。
空木岳は私も挑戦したいですが、その時は山小屋泊になると思います。テント場が木曽駒までいかないとないようだし、そもそも辛そう。
今週は台風でしたが、来週はできれば八ヶ岳に行こうと思っています。そろそろ紅葉も始まりそうだし。
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