株式会社 文化財保存活用研究所 Blog

大分県を中心に文化財の保存修復をメイン事業として活動している「株式会社 文化財保存活用研究所」の企業ブログです。

文化を護る 未来へ繋ぐ 株式会社 文化財保存活用研究所

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高瀬石仏~大分市~ 保存修復進行中 -その4-

2011-04-08 15:38:20 | 日記

 こんにちは。馬頭です。4月になりやっと春らしく暖かくなってきましたね。その陽気のおかげで、大分県の桜の名所も見頃をむかえています。私の方は前回の記事でも書いたように今年度の目標である「チャレンジ」を実行すべく、先週の日曜日に開催された「臼杵市さくらマラソン大会」に参加して10kmマラソンを完走してきました。こういったマラソン大会に参加することは初めてだったのですが、景色を眺めながら大勢の人と一緒に走るのは爽快な気分を味わえ楽しかったです。新しいことに「チャレンジ」すると新しい「発見」があって楽しいですね。これからも継続して新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

※「臼杵市さくらマラソン大会」の開会式の様子

 さて、今回は昨年度よりおおくりしてきました「高瀬石仏の保存修復作業」の最終回をご紹介したいと思います。

 今回ご紹介するのは、「龕内天井部の剥離処理」と「龕内床面の擬土補填処理」です。まず、龕内天井部の剥離処理ですが、天井部には劣化による亀裂や大きく開口している部分が所々に確認することができ、放置しておくと剥落の危険性があるため、保存処理を施す必要がありました。

※処理前の亀裂部分の様子

 こういった亀裂や開口部分に合成樹脂や擬土などを補填することで、塵埃や結露水の流入を防ぐことができ、剥落を防止することができます。

※開口部には合成樹脂を混ぜて作った擬土を隙間のできないように補填した。

※亀裂などの奥まで擬土が入っていかない箇所には注射器などで合成樹脂の注入をおこなった。

※剥離処理をおこなった後の様子

 次に龕内床面の擬土補填処理ですが、龕内の床面は表面が削れたり、剥離してしまっている箇所があったため、強化剤による基質の強化と表面が剥離している箇所には擬土補填をおこないました。

※表面が剥離してしまって脆弱部分がむき出しになってしまっている箇所

※強化剤樹脂を含浸させて基質の強化をおこなった。

※表面剥離の箇所を覆うように擬土の補填をおこなった。

 以上が今回、当社が「国指定史跡 高瀬石仏」において携わらせていただいた保存修復作業になります。千年近くも昔から現代まで遺されてきた高瀬石仏に当社が関わることができ、とても光栄に思いながら作業に取り組ませていただきました。願わくばこれから先、百年、二百年、千年と同じ姿で受け継がれていってほしいものです。

 

 さて、今回で最終回をむかえることになりました高瀬石仏の保存修復シリーズですが、今まで記事を読んでいただいた皆様には本当に感謝しております。ありがとうございました。

 少し専門的なことが多すぎて楽しんでいただけたか心配ですが、引き続き作業や保存修復については記事を書いていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

・・・ですが、やっぱり多くの皆さんに楽しんでブログを読んでいただくために新しいブログ企画を立ち上げました。題して・・・

行楽シーズンのこの時期、またゴールデンウィークに向けてお出かけの計画をそろそろ立て始めていらっしゃる方も多いと思います。

私たち文化財保存活用研究所はみなさんの休日の計画に「文化に触れてみる」というプランをひとつ付け加えてもらえたらと考え、「ぷらすわん~歴史とお散歩~キャンペーン」と銘打ってゴールデンウィーク1週間前から毎日連続して2週間、会社ブログで行楽地とその周辺のお勧め史跡や博物館など文化財に関連した場所を紹介していきます。

 

スタートは4月21日(木)からです。

少しでも文化財が身近なものに感じていただけるようスタッフ一同がんばりますので、ご期待ください。