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ジャンプが無効になる場合(ショートプログラム)

2015年11月05日 11時44分29秒 | スポーツ

 先週末のスケートカナダ、羽生結弦選手がショートプログラムの3つのジャンプのうち2つが無効になって、びっくりぽんだった。
 思いっきりルールの落とし穴にはまったパターンだが、ショートプログラムでどんなときにジャンプが無効になるのか、ちょっと整理してみよう。

【シニア男子】
(1)ダブルアクセルorトリプルアクセル 
(2)ステップからの単独ジャンプ、3回転or4回転 
(3)コンビネーションジャンプ、3-2/3-3/4-2/4-3 のどれか
 無効になるケースは:
a) (2)の単独ジャンプと、(3)のコンビネーションジャンプに、同じジャンプ(同じ名前、同じ回転数)があってはいけない。もしあったら、後から跳んだほう(コンビネーションの場合は全体)が無効。
 (コンビネーションの組み合わせが同じジャンプなのはOK。3回転トウループ+3回転トウループ、3回転ループ+3回転ループは可)
b) 回転数が足りないなど、要求を満たさないジャンプは無効。シニア男子ではコンビネーションが3-2以上なので、2-2を跳んだ場合は、元々の基礎点が低いほうが無効。
 例・・・2回転ルッツ+2回転トウループ トウループが無効
     3回転フリップ+1回転トウループ 1回転トウループが無効

 羽生選手の場合、まず単独ジャンプが2回転トウループだったので、(2)3回転or4回転の要求を満たさず、b)にあてはまって無効。続いて(3)コンビネーションが3回転ルッツ+2回転トウループで、単独ジャンプと同じものがコンビネーションにあったので、a)に相当してコンビネーション全体が無効になった。
 無効になった要素には、*マークがつく。2T*、3Lz*+2T*と表示されているのがそう。
 今シーズンの国際大会をざっと調べたら、ニース杯男子でソンドレ・オドヴォル=ボエ(ノルウェー)が、同じパターンの失敗をやっていた 2回転トウループ(2T*)、3回転フリップ+2回転トウループ(3F*+2T*)。やっちゃうときはやっちゃうのね^^;
 羽生結弦といえば、元々あらゆるケースに対応するシミュレーションをしていることで有名だった。2011年全日本選手権で、4回転予定の単独ジャンプが3回転トウループになったが、3回転ルッツ+3回転トウループ予定のコンビネーションを+2回転トウループにして、コンビネーションが無効になるのを防いでいる。
 今回のスケートカナダでも、もしかすると、このときの状況と同様と思ったのか。後で「ルールが頭に入ってなかった」とコメントしてたが、単独ジャンプが2回転で無効扱いになった場合は、コンビネーションでもう一度跳んでも関係ないと勘違いしてたのかも。
 ちなみに、U.S.インターナショナルクラシックでは、宇野昌磨選手がコンビネーションを失った 4回転予定が3回転トウループに、コンビネーションで3回転フリップ+3回転トウループを予定通り跳んでしまい、a)のケースで無効。羽生先輩のようにはできなかったか^^;
 4回転をトウループでなくサルコウで跳ぶ男子選手がけっこう多いのは、ショートプログラムに関してはこの重複ミスの心配がないというのも理由かもしれない。

 シニア女子、ジュニア男子、ジュニア女子も原則は同じ。必須ジャンプの種類が違うので、無効扱いになるケースが若干違う。

【シニア女子】
(1)ダブルアクセルorトリプルアクセル
(2)ステップからの単独ジャンプ、3回転
(3)コンビネーションジャンプ、3回転+2回転/3回転+3回転
 2回転+2回転で基礎点の低いほうが無効になるのは、シニア男子と同じ。現行ルールだと、単独ジャンプに4回転を跳んだら無効になっちゃう

【ジュニア男子(2015/2016)】
(1)ダブルアクセルorトリプルアクセル
(2)ステップからの単独ジャンプ、2回転or3回転フリップ
(3)コンビネーションジャンプ、3回転+2回転/3回転+3回転
 今シーズンの課題はフリップなので、単独ジャンプがフリップ以外だと無効。フリップなら2回転でもOKで、2回転フリップの基礎点1.9がもらえる。
 コンビネーションに同じジャンプが入ってはいけないので、通常コンビネーションにフリップは入れない(回転数が違えば大丈夫だけど、そんな危険は誰も冒さない)。2回転+2回転で基礎点が低いほうが無効になるのは、シニアと同じ。
 シニアでは、コンビネーション予定のジャンプが単独になったとき、単独予定のジャンプをコンビネーションにしても問題ないが、ジュニアでは要求を満たさなくなるので無効。(シニアで経験のある選手がジュニアの大会で、コンビネーション予定が単独になった後、単独ジャンプをコンビネーションにして無効になった例がある。)

【ジュニア女子(2015/2016)】
(1)ダブルアクセル
(2)ステップからの単独ジャンプ、2回転or3回転フリップ
(3)コンビネーションジャンプ、2回転+2回転/3回転+2回転/3回転+3回転
 ジュニア男子同様、単独ジャンプはフリップ。コンビネーションは2-2もOK。3回転がまったく入らなくても、全て有効なジャンプにはなる。
 アクセルはダブル限定なので、トリプルアクセルを跳んだら無効になるんだけど、、、「練習では跳べてるわ」なんて選手がロシアあたりに、いるかな

 2013/2014シーズンまでは、要求を満たさない2回転や1回転でも無効扱いではなく、GOEが-3。0点ではないので、2回転トウループなら1.3-0.6=0.7、2回転ルッツなら2.1-0.9=1.2がもらえた。
 それが無効0点扱いに変わったのは、3回転が不安定なレベルの選手が、転倒を避けて2回転ですませる傾向があったからではないかと思う。3回転に挑戦してもダウングレードで転倒でもしたら、2回転の基礎点から大きく引かれ、さらに減点1。確実に0.7とか1.2がもらえるなら、転倒しないほうがいい!というわけ。
 それでは3回転に挑む選手が損することになってしまう。要求をクリアしようと頑張る選手のほうが報われるように、ということだろう。(それでも、転倒の減点を含めて考えると、0点になっても転倒しないほうが得という場合もある。フリー進出ボーダーラインの選手は微妙

 羽生結弦のケースは単独とコンビネーションの両方が無効になったが、跳ぶ順番が逆だと単独ジャンプだけが無効となる。
 オンドレイ・ネペラ杯でニコル・ライチョヴァ(スロバキア)が3回転ルッツ+2回転ループ、2回転ループを跳んで、単独2回転ループだけが無効に。モルドヴィアン・オーナメントでは、ダシャ・グルム(スロベニア)が3回転ルッツ+2回転トウループ、2回転トウループを跳んで、単独2回転トウループだけ無効になっている。
 先に3-2コンビネーションを跳び、その後単独2回転ジャンプを跳んでb)、それがコンビネーションの2回転と同一だったa)場合は、1つのジャンプが2つの違反にあてはまるんだけど、1つ無効にするだけでいい? なんか微妙に不公平な気もする

 現行のルールでは、要求を満たさないジャンプが含まれるコンビネーション全体が無効になる。羽生がコンビネーションの得点を残すために、どうすればよかったのか? ルールがちゃんと頭に入ってて、2回転トウループはダメとわかっていたとして^^; 2回転トウループ以外を跳んだ場合をチェック。
 +3回転トウループ (6.0+4.3)x1.1=11.33
 +3回転トウループ(回転不足) (6.0+3.0)x1.1=9.90
 +3回転トウループ(ダウングレード) (6.0+1.3)x1.1=8.03
 3回転ルッツの着氷で傾いてたので3回転をつけるのは難しかったが、仮に転倒してGOEマイナス2.1と減点1があっても、約5点~8点確保できた計算になる。
 +1回転トウループ (6.0+0)x1.1=6.6 GOEマイナス2.1→4.50
 +なし          同上
 1回転だと要求を満たさないので無効になるが、3回転ルッツは認定される。ジャンプ1つだけのコンビネーション扱いでGOEは-3、2.1点引かれるが得点は残る。セカンドを跳ばなくても同じ。
 +2回転ループ (6.0+1.8)x1.1=8.58
 セカンドにループをつけるのは、日頃から練習してないと難しいけど、今後の対策として練習しておいたほうがいいかも?!

 フリーでジャンプが無効になる場合は、また近いうちにまとめます

コメント
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