魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

イトヨリダイ科の魚たち1

2011年11月12日 20時07分26秒 | 魚紹介

沖合底曳網漁業では主要対象となる魚がいくつかあります。まずは俗に「丸魚」と呼ばれるもので、単価が高い刺身や焼き物用の魚。マダイやクエ、カサゴ、ヒラメ、マアナゴ、マトウダイなどです。そして原料用の魚。これは八幡浜の第二次産業 (かまぼこなどを作る製造業) を支える魚で、エソ類や、ヒメジ、クラカケトラギスなどがあります。

イトヨリダイNemipterus virgatus  (Houttuyn)は、丸魚としても、原材料としても使える優等生。桃色の体に黄色横帯が数本入り、尾鰭上方の軟条が長く伸びる大変優雅で美しい魚です。

そんなイトヨリダイの仲間も種類は多く、日本からは4属と22種が知られています。ただし本州から、九州の沖合底曳網で漁獲されるものはちょっと種類は限られてしまうのですが・・・。

●1 イトヨリダイ属Nemipterus

イトヨリダイ属の魚は、前鰓蓋骨下縁や第4眼下骨の縁辺に鋸歯がないこと。頭頂部の鱗域先端部は楔形で眼の中央付近まで達すること、頬部に2列の鱗があるなどが特徴で、日本からは8種が知られています。しかし多くが奄美以南に分布し、九州以北の沿岸にみられるのは2種に限定されます。

同じ箱の中に入っておりましたソコイトヨリNemipterus bathybius  Snyder。ソコイトヨリは腹部の蛍光黄色の線がよく目立ちます。イトヨリダイにも大きいものは入ってたりします。イトヨリダイは側線の始部に赤色斑がありますが、ソコイトヨリにはありません。ソコイトヨリは琉球列島にも分布しますが、イトヨリダイは琉球列島を避けるような分布をしています(沖縄舟状海盆にはいるようです)。

●2 タマガシラ属Parascolopsis

前鰓蓋骨下縁や第4眼下骨の縁辺に鋸歯があります。ヨコシマタマガシラ属の魚は本属に似ているのですが、眼下骨に大きな棘がありタマガシラ属と区別できます。日本産は3種、本州から九州沿岸にかけてはいずれの種も漁獲されています。

以前ご紹介しましたアカタマガシラParascolopsis eriomma  (Jordan and Richardson)もこのタマガシラ属になります。よく似ているタマガシラは生鮮時に、体側に太い赤色帯があり容易に見分けられます。もう1種のキスジタマガシラは小型種であまり漁獲されないようです。

タマガシラ、アカタマガシラともに底曳網でよく入ります。アカタマガシラのほうが、やや南方性でしょうか。この写真の個体も種子島沖で漁獲されました。肉は白身で軟らかいですが美味、刺身にしてもおいしいものです。

次回は残りのメンバーをご紹介しましょう。

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